苦情2万4000件「チュウ害」に怯えるNY市民

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 日本人にしてみればどちらも「ネズミ」だが、英語でmouseとratの違いは?

 前者はハツカネズミ、千葉は浦安市に君臨する例の“マウス”が人気なのも道理、「かわいい子」という意味も併せ持つ。が、後者のラット、ドブネズミは、「裏切り者」「恥知らず」といったマイナスイメージの語義ばかり並ぶ古くからの嫌わ

れ者。実際、危険な病原菌も運ぶ厄介な動物である。

 そratの目撃例と苦情の数が、アメリカ・ニューヨーク市で急増中だ。市によると、10月21日段階で、ホットラインに寄せられたネズミ関連の苦情は2万4375件、昨年を大幅に超える最高記録を更新し続けているという。

 現地在住の記者は言う。

「市の人口820万人に対してネズミは800万匹とも言われます。地下鉄構内での目撃例が多数ですが、車両内で乗客の体の上を走り抜けたり、吊革を握る手に噛みついた例も。ネットでは、自分の体より遥かに大きなピザを堂々と“デリバリー”する〈ピザ・ラット〉が話題になりました。自宅にいても、3歳の女の子がシャワー中に背中をかじられたり、ベビーベッドの赤ん坊の爪先にネズミが食いついていたりといった被害もあり、深刻です」

 市は職員50人、年300万ドル(約3億6000万円)を投じて対策を講じているが、巣に適した古い建物が多く、総延長距離1300キロに及ぶ地下鉄は日本の地下鉄すべてを足したより長い。ネズミ算式に増える敵には劣勢を余儀なくされ、最近では公園まで縄張りに。

「公園でも屋外のカフェなどでも見ます」

 とはニューヨーク在住のライター佐久間裕美子氏。

「ランチの食べかすなどが目当てでしょうが、気持ちいいものではありません」

 公園の芝生で寝そべる前に、ラットがずらっと並んでいないかごチュウ意を。

週刊新潮 2015年11月5日号掲載

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