「デロリアン」で時間旅行していた「D・トランプ」

映画週刊新潮 2015年11月5日号掲載

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 2015年10月21日は、30年前に公開された大ヒット映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の日――。

「シリーズで3本作られましたが、パート2では、タイムマシンに改造したアメ車“デロリアン”に乗って、この日にやって来たことから、記念日化しました」

 とは、本物のデロリアンを所有する映画評論家の有村昆氏である。パート2で描かれた30年後の世界は、自動車が空を飛び、天気予報は秒単位で当たる夢の未来であったが、

「指紋認証など当たっているものも多いんですよ。先日、ロバート・ゼメキス監督と対談したんですが、当時は脚本のボブ・ゲイルと共に科学者など先見の明がある人に話を聞いてストーリーを作ったそうです。なかでも白眉なのは、脚本のボブが、シリーズ通して敵役のビフ・タネンのモデルを、トランプ氏だと明かしたことかも」(同)

 資産41億ドル(およそ5000億円)と伝えられる、アメリカの不動産王にして、今年6月に共和党から大統領選に出馬することを表明したドナルド・トランプ(69)である。表明演説から“メキシコ人は犯罪者”と言い放って物議を醸した、あの人物。映画の中の“トランプ”(ビフ)はデロリアンを失敬し、1955年の自身に20世紀の記録がまとめられたスポーツ年鑑を手渡す。それをもとに競馬で大穴を当て、全米一の富豪に。

「ビフの所有するカジノビルは、トランプ氏が84年に完成させたカジノホテル、トランプ・プラザとそっくり。キャラクターも毀誉褒貶の激しいトランプ氏とぴったりで、今にして思えば風貌まで似ている」(同)

 ヅラっぽい髪型まで、予見したとは大したものだが、

「トヨタがホバーボード(宙に浮くスケートボード)を、ナイキは自動で靴ひもが締まるスニーカーを発表したように、企業が映画に“寄せる”傾向がありますが、トランプ氏自身も話題作りで寄っていったのかも」(同)

 映画の“トランプ”が君臨する米国は、歴史が改ざんされ暗黒街に成り果ててしまうけど。