除名の危機が訪れる「山本太郎」の数珠と喪服とガラスのコップ

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 欧米では、結婚式で花嫁が身につけると幸せになれるというアイテムを「サムシング・フォー」と呼ぶ。山本太郎参議院議員(40)が国会で身につけたのは、数珠と喪服とガラスのコップ。言うなれば「サムシング・スリー」だが、これらは幸せどころか、政治生命に危機をもたらしそうだ。

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「常軌を逸してるね。芸能界出身だから、少々浮世離れしているところがあるとは思っていたけど……」

 参議院のベテラン議員が憤懣やる方ない様子で語るように、18日に本会議場に現れた山本氏は周囲を唖然とさせたという。

「故人を悼む時に着用すべき喪服を着て、数珠を手に安倍総理を拝んだ。国会内で総理を死人扱いしたわけで、余りに幼稚で非礼な行為です。また、参議院はかつて貴族院だった名残で、天皇陛下をお招きして国会の開会式を行う場所でもある。山本さんの行為は、歴史と権威ある院の品位を汚したとの誹(そし)りを免れません」

 与野党を問わず、「これは懲罰委員会モノだ」といきり立つ議員も出たという。

「とにかく連休明けには何らかの処分を科さないと、良識の府たる参議院として国民に示しがっかないよ」

 立法府に住まう国会議員の懲罰は憲法等に定めがある。政治部デスクによれば、

「対象になるのは、院内の秩序を乱した議員です。具体的には院内で暴力を振るったり、暴言で他の議員の名誉を傷つけるなどした場合。こうした行為や発言があった日から3日以内に、20人以上の議員が参議院に動議を提出するか、参議院議長が懲罰委員会に直接付託する必要があります」

 懲罰は4種類あるそうで、

「公開の議場で議長から注意を受ける戒告と謝罪をさせられる陳謝。一定期間の登院停止処分、そして除名です。除名には出席議員の3分の2以上の賛成が必要で、認められると議員資格が剥奪されます」

 現行憲法の施行以来、懲罰動議により除名処分が下された議員は衆参で1人ずつ。いずれも戦後間もない60年以上も昔のことだ。

 山本氏は総理と参議院自体の名誉を傷つけたことで槍玉に挙がる見込みだが、実はこの前日にも国会議員としての品格を疑われる振る舞いが目撃されていた。自民党の安保特別委員会理事を務める、石井準一参議院議員が指摘する。

「17日の委員会採決の最中のことです。山本さんは興奮状態の異常な目つきで、委員長席の後ろにあるコップを両手に1つずつつかむと、委員長席の方に投げつけるような素振りを見せた。野党議員がすぐに気づいてコップを取り上げたので事なきを得たのです。その時の様子は私の他に、何人もの議員が見ていますよ」

 当の山本氏の言い分は、

「乱闘騒ぎで水差しセットが割れると大変なことになると思い、グラスをどかそうと手に持ちました。全くの誤解であり、明らかな言いがかりです」

 得意のパフォーマンスも度が過ぎれば、憲政史に不名誉な名を残すことになる。

【特集】「狂躁『安保法制』の後遺症」より

週刊新潮 2015年10月1日号掲載

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