すい臓がんで13キロ体重が落ちた「九重親方」が明かさない心労

スポーツ週刊新潮 2015年9月24日菊咲月増大号掲載

 5月には還暦の土俵入りで元気いっぱいの姿を披露していたのに、病魔はいつ襲ってくるか分からないものだ。突然の「内臓疾患」で、名古屋場所を全休した九重親方(元横綱千代の富士)、本当の病名が「すい臓がん」だったことを明らかにしたのだ。

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九重親方

 スポーツ紙の相撲担当記者が言う。

「7月に九重親方が名古屋場所を全休した際、相撲協会は3週間入院すると発表していました。普通、これほどの長期入院は重い病気に違いない。そこで、場所が終わってから取材してみると、弟子や親しい人に九重親方が“すい臓がんを患った”と話していたのです。このことは、相撲協会内部でも伏せられていました」

 すい臓がんといえば、発見が難しく、進行がんの場合は手術をしても5年後の生存率が3%という病気。優勝回数31回、国民栄誉賞までもらった大横綱が“不治の病”になったとなれば一大事である。

 実は本誌も、親方が“すい臓がん”になったという情報をキャッチして秋場所直前に、九重部屋を訪ねている。

 そこで、部屋から出てきた力士に聞くと、

「(親方が)内臓疾患?そうみたいですね。すい臓がんみたいですよ」

 と、あっさり認めるではないか。

 そこで、翌日改めて部屋を訪れると、朝の8時40分ごろ、九重親方が稽古場に現れた。顔のツヤ、体の張りともいたって健康そうだ。しばらくすると、十両力士を呼びつけて説教を始める。

「四股、何回踏んだんだ。そこで踏んでみろ!」

 病気の具合はどうなのか、声をかけようとすると、こちらを睨みつけながら稽古場を去っていった。

 すい臓がんで入院していたことを公表したのは、この日の翌日のことである。

■知人が逮捕

 九重親方によると、1カ月の入院で13キロも体重が減ったが、早期発見の段階で手術できたため、7月下旬には退院していたという。元気な姿を見せることができたのも経過が良かったからだろう。

 だが、その一方で九重親方がいまだに明かしていない「心労」もある。

「最近の九重親方は不運続きです。以前は事業部長という重職を務め、北の湖理事長の次をうかがう有力候補だったのですが、理事候補選挙で落選してしまったのが昨年1月のこと。その後、取組の不正をチェックする監察委員という役職に就任しましたが、上司の監察委員長が年下の貴乃花親方とあってプライドの高い親方としては、これがまた不満でしょうがないはずです」(先の相撲担当記者)

 加えて、7月の名古屋場所の直前には、九重親方の名前を使い恐喝未遂を働いたとして知人のイベント企画会社社長が逮捕されるという事件も起きている。名古屋場所を休んだのは、そんな心配事が重なってのことではないかとも見られていたのだ。

 相撲ジャーナリストの中澤潔氏によると、

「九重親方には大相撲の一時代を築いたという自負がある。しかし、理事長になるはずだった自分は選挙で負けて、今や一監察委員。一方で自分の弟弟子だった八角親方(元横綱北勝海)に次期理事長の期待が集まっているのです。次の理事選は来年ですが、それまで“冷や飯”を食わされることになる。本人にとってはたまらないことだと思います」

 そして、秋場所初日、九重親方は監察委員として現場にいた。だが、病気から復帰しても、九重親方の不遇の日々は続く。

【特集】「ごくごく個人的自衛権の問題」より