子を持つ親の心配は「本当に徴兵制になるのか?」

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 反対派の言説を信じ、本気で心配しておられる方もいるかもしれないから、この疑問に関しても最初に答えをハッキリ記しておこう。安保法案成立により、徴兵制が復活することはない。何しろ、今の時代に合わないそんな制度を復活させても全く意味がないのだ。

「アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアといった、今日の世界の、自由で民主的な先進国では徴兵制、すなわち義務兵役制は、実態として採用していません。なぜなら、義務兵役制の軍隊なんて役に立たないからです」

 そう説明するのは、防衛大学校名誉教授の佐瀬昌盛氏である。

「現在は軍事技術が発達し、きわめて近代的な装備や兵器となっている。昔からは考えられないような最新テクノロジーを先進国の軍隊は導入しており、町のお兄ちゃんが1年くらい訓練したのでは技術を習得できない。役に立たない兵をいくら集めても仕方ないですから、各国、事実上の志願兵制にしているのです」

 この「徴兵制」と同様に一人歩きしているのが「戦争」という2文字。安保法案により、アメリカの戦争に日本が巻き込まれる、という主張などがそれだが、

「今はむしろ、アメリカが日本の戦争に巻き込まれたくない、と考えている。オバマ政権になって以降、内向きの傾向があるわけですが、そうした知識もなく、“アメリカの戦争に巻き込まれる”と言うのは、60年代の発想です」

 と、外交評論家の田久保忠衛氏は呆れる。

「今、日本が中国や北朝鮮との間で小競り合いを起こすと、アメリカも一緒にアジアでドンパチしなければならなくなる。アメリカはそれを避けたいのです。安保法案は、安倍総理からのアメリカに対する“アジアから逃げるな”というメッセージでもあるのです」

 個別的自衛権だけで防衛は事足りる。これも反対派の言説の1つだが、

「彼らは、自分たちだけで国を守るとなると、どれだけの防備、費用が必要なのか理解しているのでしょうか。自衛隊の規模は今の3倍くらいにしなければならないし、そうなれば、それこそ自衛隊員が足りなくなって徴兵に繋がると思いませんか? 危険もより増しますよ」(同)

 反対派の「レッテル貼り」のせいで不毛な議論も繰り返されたが、ともかく、安保法案の審議時間は衆参両院で200時間に達した。

【特集】「『安保法案』7つの疑問」より

週刊新潮 2015年9月24日菊咲月増大号掲載