東京五輪エンブレム「紹介曲」にも浮上した深刻なパクリ疑惑

社会週刊新潮 2015年8月27号掲載

 アートディレクターの佐野研二郎氏(43)が手掛けた2020年東京五輪の大会エンブレムが発表されたのは7月24日。その後、ベルギーの劇場ロゴとの「酷似疑惑」が浮上したのはご承知の通りだが、ここへきて、エンブレムと同時に発表された「紹介曲」にも、深刻なパクリ疑惑が――。

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 動画投稿サイトYouTubeの検索欄に「東京五輪」「エンブレム」「紹介」、とキーワードを打ち込むと、〈東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 エンブレム紹介(2分20秒版)〉という動画がヒット、再生ボタンをクリックするとエンブレムの紹介曲を聞くことが出来る。目下、関係者の間でそれと「酷似している」と指摘する声が上がっているのが、オーストラリア人のJonathan Boulet氏が5年前に作った「You're A Animal」という楽曲。こちらもYouTubeで視聴可能だ。

 両方の曲を聞いてみると、躍動感のある打楽器のリズム、スピード、コーラスの入り方や旋律までそっくりだが、専門家はどう見るか。

■トヨタのテレビCM

「まず、打楽器が使われている部分を音圧分析すると、五輪の方が148BPM(1分間で148のリズムを刻んでいる)、Jonathan氏の方が140BPM。8BPMの差は一般人には聞き分けがつかないほどで、これは非常に似ていると言っていいでしょう」

 そう話すのは、音響研究所所長の鈴木松美氏だ。

「次にコーラスの部分ですが、最初のメロディーの頭から3つ分の音符が一緒。その後のキーも、全体的に非常に似ている。コーラスが、エコーを掛けた部分を含めて5秒間伸びている点でも一致しています」

 エンブレム紹介曲の制作を統括したのは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のクリエーティブ・ディレクターとしてエンブレムの審査委員も務め、大手広告代理店「電通」の社員でもある高崎卓馬氏。組織委戦略広報課の担当者が説明する。

「作曲は主にアメリカで活動をしているFumitake Igarashi氏とYohei Nakamura氏によるもの。(音楽プロデューサーの)福島節氏も制作スタッフの1人として参加しています。(彼らは)高崎が、仕事で出会った信頼のおけるメンバーです。今回の件について、高崎は“パクリなどではない。完全なオリジナル曲だ”と話しています」

 しかし――こんな“気になる証言”がある。

「実は、Jonathan Boulet氏の『You're A Animal』は7月4日から全国で放送されている『TOYOTA GAZOO Racing』のテレビCMで使われています」

 とは、CM制作に詳しい関係者である。

「そして、そのトヨタのCM制作において、クリエーティブ・ディレクターなどを務めていたのが電通の高崎氏、音楽プロデューサーが福島氏なのです。こうした背景をみると、エンブレム紹介曲を“オリジナル”と主張するのは非常に苦しいように思います」

 スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏が慨嘆する。

「東京五輪を巡っては、とにかく人材が低劣なのが目立つ。だからこそ次々と問題が発覚し、音楽のパクリ疑惑まで出てくるのです」

 もはや誰も、「パクリ天国」中国のことを笑えまい。

「ワイド特集 陽炎の人」より