史上初「金」「銀」独占も 世界陸上「競歩」の双壁

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 8月22日から北京で陸上世界選手権が始まる。

 ハンマー投げの室伏広治が欠場し、マラソンは男女とも表彰台からは程遠いレベル。日本人初の100メートル9秒台が期待される桐生祥秀も負傷欠場しているので、日本人選手たちの見どころを探すのは難しそうな情勢に思えるのだが、スポーツ紙デスクによると、

「世界陸上はぜひ“競歩”に注目して下さい」

“歩く”という人類の原初的な運動でありながら、競技人口も観戦人口もごくわずか。体をクネクネさせながらロボットのように不自然に脚を動かす、失礼ながらそこはかとなくユーモラスな雰囲気を漂わせるあの競技である。

 実は、五輪種目でもあるこの競技、現在の男子20キロ世界記録保持者はなんと日本人なのである。

 その名は鈴木雄介(27)。ロンドン五輪の出場経験がある彼は、今年の3月15日、石川県で行われた大会で1時間16分36秒の世界新記録を樹立した。

「競歩には、“常に一方の足を接地していなければならない”“脚は着地から身体の真下まで膝を伸ばしておかなくてはならない”というルールがあり、違反すると反則をとられ、それが累積すると失格となります。しかし、フォームに定評がある鈴木は過去に失格したことがない。中国という“敵地”では、不利な判定を蒙る恐れがありますが、鈴木はそのリスクが最小限だと言えるでしょう」(同)

 なにしろレコードホルダーである。金メダルを獲得しても不思議ではない。

 だが今年2月の日本選手権で、その鈴木に勝った男がいる。高橋英輝(22)。伸び盛りの彼の自己ベストは1時間18分03秒だ。

「二人とも富士通陸上部所属ですが、性格は正反対。生真面目で熱血漢の鈴木に対して、高橋はいつものほほんとしているおっとり型です」(同)

 うまくいけば二人で金銀独占もありうる。一人が不調でも、もう一人が表彰台に立ってくれそうだ。

「メダルを獲得すれば、五輪・世界選手権を通じて日本競歩史上初の快挙達成です。国内で競歩の一大ブームが巻き起こるかもしれませんよ」(同)

 スタートは日本時間の8月23日午前9時30分。

 日曜なれど早起きすべし。

週刊新潮 2015年8月27号掲載

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