巨岩・奇岩を海上から楽しむ 旅行ライターが明かす絶景旅行ガイド 本州北部編

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 猛暑、炎暑、酷暑、とにかく暑い……。束の間の夏休みくらい、大パノラマでも眺めて心に涼やかな風を送り込みたいところ。しかし、「絶景求めて三千里」というほど、時間的にも金銭的にも余裕のない読者に、旅行ライターの高田京子氏が秘境ガイドをお届けする。前回の北海道編に引き続き、本州北部の絶景を紹介してもらおう。

■巨岩・奇岩を海上から眺める

 本州の北の果て、青森県下北郡佐井村の仏ヶ浦(ほとけがうら)[写真(1)]。最果ての絶景が望める。下北半島の西海岸中央部に、約2キロにわたる高さ90メートルの巨岩・奇岩が聳(そび)え立つ。陸路で行く場合は、佐井地区から国道338号線を40分ほど南下すると、仏ヶ浦を一望できる展望台に到着。駐車場から遊歩道を下れば20分程度で仏ヶ浦の浜に出る。

[写真(1)]仏ヶ浦(青森県)

 おすすめなのが、海上からの眺めを楽しめる観光船だ。牛滝(うしたき)港発着の「夢の海中号」は海中が見えるグラスボートで片道乗船15分、料金は1000円(往復)とお得だ。むつ市脇野沢港発着の「夢の平成号」は片道45分で、料金は2050円(片道)。また、佐井港発着の「サイライト号」と「ニューしもきた号」は片道30分。料金は大人2400円(往復)で、子供は半額になる。また、どの観光船も「巨岩上陸時間」は30分だ。

「上陸時にはガイドが15分程度の案内をします。天候や海の状況により出航できないこともあるので、事前の確認、予約をおすすめします」(佐井定期観光株式会社)

 当地で是非、味わいたいのがこの時期が旬のウニ。仏ヶ浦からほど近い福浦地区にある「ぬいどう食堂」のウニ丼は、丼から溢れ出るほどのウニが盛られて1500円。漁師経営の「仏ヶ浦ドライブイン」のミックス丼はウニやアワビが乗り、獲れたての魚の刺し身や煮付け、小鉢が付いて1800円。

 佐井村には8軒の民宿があり、1泊2食付きで6000円から7000円前後。

「かわばた旅館」と「民宿みやの」では8月14日を除けば、8月中は若干の空き室があるという。

 青森市内から佐井村までの最短ルートは、青森港発の高速船「ポーラスター」。1日2往復で、料金は大人6770円(往復)で安いとは言えないものの、牛滝などを経由するので利便性は高い。青森を拠点にして観光船に乗り換えれば、日帰りで仏ヶ浦を満喫することも可能だ。

■東洋一に負けず劣らず

 冬は寒さに凍える仏ヶ浦と同じく、新潟県阿賀野市の瓢(ひょう)湖[写真(2)]も“夏だからこその楽しみ方”がある絶景の1つだろう。瓢湖は寛永年間に造成された農業用水池で、2008年に湿地の生態系を守るラムサール条約に登録された。冬は白鳥の渡来地として全国的に知られている瓢湖だが、夏は一面にハスの花が咲き乱れ、特に午前中は湖一面がピンクに染まって見えて美しい。阿賀野市観光協会の説明によると、

[写真(2)]瓢(ひょう)湖(新潟県)

「上越市の高田公園のハスは東洋一と言われますが、瓢湖のハスも負けず劣らず見事なもの。湖面をびっしりと覆い尽くすハスが一斉に花開く、早朝の散策がおすすめです」

 湖畔には宿泊施設「リズム・ハウス瓢湖」が立つ。

「お盆過ぎの16日以降は通常料金の1泊2食付き8980円からで、お部屋の余裕があります。食堂では阿賀野市のB級グルメ『白鳥美人』も提供しています」(リズム・ハウス瓢湖)

「白鳥美人」は地場産の米粉めんと豆乳を使うオリジナル料理。現在、市内の飲食店7店舗で提供している。なかでも、リズム・ハウス瓢湖のサラダうどん風「冷やし白鳥美人」が好評だという。

 さらに、瓢湖の東側に聳える五頭(ごず)連峰の麓には3つの温泉地からなる五頭温泉郷がある。ここから標高約912メートルの五頭山に登るルートはいくつかあるが、頂上まで行かずとも絶景が望めるポイントは5合目の烏帽子(えぼし)岩だ。

「水田が広がる越後平野が一望できます。晴天ならば日本海、佐渡の山並みを見渡すこともできる。烏帽子岩までなら小学生でも比較的、登りやすいですよ」(前出観光協会)

 五頭温泉郷には12軒の温泉旅館があり、お盆期間でも若干の余裕があるという。

 旅行ライター 高田京子

週刊新潮 2015年8月13・20日夏季特大号掲載

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