「気軽に行ける秘境」旅行ライターが明かす絶景旅行ガイド 北海道編

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 今夏は旧盆の8月13日から15日が週末に重なり、大型連休とは言いにくい。

「近所」で行楽を済ませる人が多いのかと思えば、大手旅行代理店JTBによると、この夏の旅行者は7816万人で過去2番目に多くなる見込みだという。日本人の3人に2人近くが旅行する計算で、せっかくの短い夏休みに「強行軍」で出掛けたとしても、定番の観光地が大混雑することは目に見えている。かといって、密林をかき分けたり、断崖絶壁をよじ登って人の少ない秘境に行くほどの「根性」はない。ならば、比較的にアクセスしやすい「気楽に行ける秘境」に足を運んで、絶景を楽しむのはいかがだろうか。

■絶景の雲海を楽しむ

 まずご紹介するのは、北海道の中央に位置する勇払(ゆうふつ)郡占冠(しむかっぷ)村の「星野リゾート トマム」。冬はスキーリゾートとして人気だが、残雪が消えた初夏からトマム山で味わえる絶景が雲海(写真(1))だ。標高1088メートルに設けられた「雲海テラス」へ、ゴンドラに揺られて約13分。天空に張り出すように作られたデッキからは、大地を埋め尽くす雲海が、まるで巨大な生き物の如く刻々と姿を変えながら流れていく。この雲海を説明してくれるのが、“雲海仙人”こと星野リゾートトマムの鈴木和仁さんだ。

[写真(1)]初夏からトマム山で味わえる雲海

「十勝沖で発生した海霧が内陸部へ約100キロ移動し、日高山脈の峠を越えて雲海となる。雲海にはいろいろな種類がありますが、トマムならではの地形と気象条件が生み出す、神秘的な現象が見られます」

 朝の雲海テラスでは雲海ヨガや雲海仙人による雲海ガイド、モーニングコーヒーも楽しめる。

「雲海の出現率は平均30%前後。公式HP、または『雲海ダイヤル』で翌日の発生予想確率などをお知らせしています」(星野リゾートトマムのスタッフ)

 リゾート内では、朝5時から動き始めるゴンドラにあわせて循環バスを運行。雲海見学のあとは、ゴンドラ山麓駅に隣接する「雲のしたカフェ&マルシェ」で。日替りスープやベリーを使ったスムージーなどを気軽に味わえる。

「トマムにある2つのホテルの部屋数は約780で、夏休みシーズンでも予約可能な日程もございます。スタンダードプラン1泊朝食・特典付きの1万8800円からで、他にも各種プランをご用意しています」(星野リゾートグループ広報)

 最寄りのトマム駅までは札幌から特急利用で約1時間35分、駅からリゾートまでは無料送迎バスあり。

■島牧村に名瀑あり

 同じく北海道で、夏の涼を満喫できるのが飛龍と称される「賀老(がろう)の滝」(写真(2))だ。北海道南西部、日本海に面した島牧村の大部分を占める、1万700へクタールという日本一広いブナ原生林。その懐深くに抱かれた賀老の滝は落差70メートル、幅35メートルの道内屈指の大瀑布で「日本の滝百選」の1つに数えられる。滝壺がなく、岩に砕け散った水飛沫(しぶき)に大きな虹がかかるのが美しい。そんな秘境へは札幌から車で約190キロ、JR函館本線黒松内駅から約60キロ、国道229号線を南下して賀老高原駐車場へ。滝見展望台までは、徒歩で1・4キロの道のりだ。

[写真(2)]夏の涼を満喫できるのが飛龍と称される「賀老の滝」

 風光明媚な島牧村のもう1つの魅力は海の幸。南西部の茂津多(もった)岬周辺で獲れる魚介類の味には定評がある。

「なかでも、ホッケは太っていて、地元の人も『ホッケを食べるなら茂津多ホッケ』というほど人気です」(島牧漁業協同組合)

 そんな地元の海の幸をたっぷり味わえるのが、国道229号線沿いの道の駅「よってけ! 島牧」のレストラン。ランチタイムのみの営業で、特に無煙ロースターを使った海鮮バーベキューが人気だという。

「お一人様1000円から1500円ほどで、カキやホタテ、アワビなどの他、島牧産のウニ、ツブガイを味わうことができます。水槽から活貝を選び、テーブル席でバーベキューができると好評です」(「よってけ! 島牧」スタッフ)

 村内には賀老の滝近くの「千走(ちはせ)川温泉旅館」など、3つの温泉旅館と数軒の民宿が点在し、希望があれば釣り船も斡旋してくれる。

「お盆の空き室はあまり余裕がありませんが、立ち寄り入浴はできます」(モッタ海岸温泉旅館)

 場合によっては札幌や小樽を拠点にドライブを楽しむプランも考えたい。

 旅行ライター 高田京子

週刊新潮 2015年8月13・20日夏季特大号掲載

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