実の姉「朴槿恵」大統領に歯向かう「妹」が「慰安婦はもう解決済み」

国際 韓国・北朝鮮

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 反日に執着し、慰安婦問題への謝罪や補償を求めて譲らない、韓国の朴槿恵大統領。嫌いなニンジンを前にした駄々っ子よろしくしていれば、まかり通ると思ったかもしれないが、実妹に歯向かわれるとは想定外だったことだろう。しかも、「慰安婦は解決済み」と言われてしまったので。

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「文化分野で影響力がある人のこうした発言は、数十年に一度あるかどうか、というほどエポックメーキングでした」

 拓殖大学大学院特任教授の武貞秀士氏にこんな感想を漏らせしめた、朴大統領の妹、朴槿令(クンリョン)氏とは、

「ソウル大学で音楽を学んだ後、音楽を中心に芸能分野に関わり、韓国女性囲碁連盟の総裁を務めるなど、文化活動を重ねてきた。日本への行き来も多く、韓国国内の反日感情には誤解が多いと思い続けていたのではないでしょうか」(同)

 そんな彼女の発言について、ソウル特派員に改めて振り返ってもらうと、

「日本のニコニコ動画の取材に応じ、慰安婦問題などで韓国が何度も謝罪を要求することについて“(日本は)天皇を含めて4回も謝罪した”“首相が代わるたびに謝れと言うのはおかしい”“慰安婦は韓国国民が国内で面倒を見るべき”などと回答。靖国参拝についても“先祖に過ちがあったからと参拝しないのは人の道に背く”などと言い、帰国した7月30日、ソウルの金浦空港で記者団に囲まれた際も、ほぼ同じ発言を繰り返したのです」

『コリア・レポート』編集長の辺真一氏は、

「損得勘定は抜きに、彼女が普段から正しいと思っていることを言ったのだと思います。こういう発言をすれば、帰国後に“売国奴”と批判されるのは目に見えていたわけですから」

 と言うが、ともかく、これほど姉に“歯向かう”背景には、父親の朴正煕元大統領が暗殺されて以後の、長い経緯があるという。

■裏切り者への直球

「まず父親の財団が保有する資産を分与する際、妹と弟に十分に分け与えなかった。それでも、長く円満な家族関係をアピールしていましたが、2012年の大統領選からは、父に倣って清廉潔白を売りにし、青瓦台に身内を呼べば不正を疑われかねないとの思いにとらわれ、槿令や薬物で逮捕歴のある不肖の弟ばかりか、大好きだった甥っ子まで一切遠ざけたのです」

 と、先の特派員。武貞氏が継いで言うには、

「韓国は儒教文化が色濃く残り、折々に集まるなど親族のつながりが重視されるのに、姉はきょうだいの絆も断ち切った。つまり儒教文化における“裏切り者”に向けて投げ込んだ直球が、今回の発言だと思います」

 加えて、特派員氏は朴正煕への思いを指摘する。

「1965年に日韓基本条約が結ばれ、5億ドルの経済支援金を得て韓国は近代化を成し遂げた。それは朴正煕の功績ですが、朴槿恵が大統領に就任したころから、日韓基本条約の破棄を訴える人が現れた。そんな父の功績を否定する動きにも慎重な態度をとる姉に、不満を募らせたのでしょう」

 そうした思いを、

「朴政権の力が弱まり、かつ、安倍首相による戦後70年談話が発表される時期に、満を持して吐露した」

 と見るのが武貞氏なら、元朝日新聞ソウル特派員の前川惠司氏はこんな意見。

「姉を助けようという思惑があったと思う。経済状況も悪く、中国も日本寄りの姿勢を見せ始め、二進(にっち)も三進(さっち)もいかなくなった朴槿恵政権は、反日政策を徐々に脱して首脳会談を実現したいのが本音。つまり、日本に歩み寄るにあたっての観測気球だったのでは」

 いずれにせよ、

「日本の韓国統治の影響を肯定的に語り、謝罪はもう必要ないとまで言及するなど、ようやく当たり前の話が出てきた」(武貞氏)

 のは間違いない。その発言主を荒野に追いやってしまうようなら、日韓関係に未来はあるまい。

「ワイド特集 女たちは荒野をめざす」より

週刊新潮 2015年8月13・20日夏季特大号掲載

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