イスラム国の処刑人「ジハーディ・ジョン」逃亡情報

国際週刊新潮 2015年8月13・20日夏季特大号掲載

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 英国から来たテロリストを、4人組だから「ビートルズ」と呼ぶだけでも充分趣味が悪い。その上、見るに堪えない斬首映像を世界中に流し、「イスラム国」の処刑人として悪名を得た男の名がジョン・レノンに由来すると知れば、ファンならずとも胸が悪くなるはずだ。

 黒衣に身を包んだ「聖戦のジョン」すなわち「ジハーディ・ジョン」はアメリカ人ジャーナリストや英国人活動家などを次々に斬首、後藤健二さんら日本人人質も手にかけたと見られているが、7月26日、イスラム国から逃亡したと英ミラー紙が報じた。

 世界的注目を浴びたことで「嫉妬深い」仲間に殺されるのを恐れ、北アフリカに逃れたというのだ。同紙の情報源は〈イスラム国が必要としなくなれば、結局、彼の犠牲者と同じ運命に苦しむ可能性もある〉という。

 事実とすれば「そら見たことか」であるが、ロシアのニュースチャンネルは「シリア国内に潜伏か」と報じ、米情報筋からとして「リビアに逃亡」とも伝え、CNNは31日、米当局がジハーディ・ジョンの脱退説を否定、世間の目を逃れるため配置転換されただけという可能性を伝えた。いずれにせよ、じっと息を潜めていることは確かなようだ。

 現代イスラム研究センターの宮田律氏は言う。

「ジハーディ・ジョンは有名になりすぎました。最高指導者バグダディと並んで、もはやイスラム国の“象徴”と言ってもいい存在です。内部の人間に追われているのでないとしても、米軍の特殊部隊は彼を重要なターゲットにしています。身を隠す必要があるのです」

 クウェート生まれの英国人、モハメド・エムワジと特定されたこの26歳の元ラッパーは、後藤さん殺害後、忽然と姿を晦(くら)ましている。

「イスラム国の指導層は次々にターゲット・キリングの餌食となり、殺害されています。米司法長官はジハーディ・ジョンについても“どこにいようと関係なく見つけ出し、追いつめる”と宣言しています。トルコが空爆を開始するなど、イスラム国が守勢の現在、戦闘のプロでもない彼の出番はない。首を取られぬよう逃げ回るよりない」(同)

 愛と平和を歌ったジョンには望まぬ死が訪れた。世界を呪詛で満たしたジョンに訪れるものは何だろうか。