【詐欺師の素顔】足裏診断の怪僧「福永法源」十八番の嘘は「ローマ法王に後を頼むと3度言われた」

社会週刊新潮 2015年8月6日通巻3000号記念特大号掲載

  • 共有
  • ブックマーク

 虚を演じて観客を胸いっぱいにする演劇とは違って、信者の懐をすっからかんに追い込むばかりだったのがこの怪僧である。宗教法人「法の華三法行」代表として、根拠なき足裏診断と「天声」を駆使、1000億円ものカネを巻き上げた福永法源(70)。嘘に嘘を重ねたなかの十八番、それが「ローマ法王に後を頼むと3度言われた」ことだった。

 ***

「儲」という字を分解すると、「信者」。福永にとって、信者はカネそのものなのだ。

「福永は2000年、詐欺容疑で警視庁と静岡県警の合同捜査本部に逮捕されました。同罪で起訴後、08年に懲役12年の刑が確定し、黒羽刑務所に収監。そして昨年3月、出所したのです」(社会部デスク)

 近況については、のちに述べるとして、被害対策弁護団の一員だった紀藤正樹弁護士によると、

「法の華の債権者は約2万2000人、被害総額は約950億円でした。ただ、これらはあくまでも申告があった数字。全盛期にあたる95年には、信者で東京ドームを満杯にしたほどで、実際の被害はもっと大きい」

 これだけの巨額詐欺事件へ発展した要因は何か。それは、教祖が著名人との蜜月をアピールすることで教団の信用力を高めていったことと無縁ではない。その著書や機関誌を見ると、サッチャー元英首相、ゴルバチョフ元ソ連大統領、故マザー・テレサ、クリントン元米大統領といった世界の指導者が、交遊録中の人物であったと記されている。極め付きが、当時のローマ法王、ヨハネ・パウロ2世への謁見シーン。

「法王から特製リングを受け取ったときに、“ローマ法王が、あなたに後を頼みますと3度囁いた”と言うのです」(元教団関係者)

 宗教家と呼ぶにはあまりに節操のない所業である。

「彼らの信者獲得法は」

 と、ゆすり・たかりの中身についておさらいしてくれるのが、宗教ジャーナリストの藤倉善郎氏である。

「まず病気で困っている人を探すところから始まります。例えば病院の前などで法源の著作を配ったりする。そのなかには“研修に参加することで病気が治った”という体験談があり、病気で苦しむ人は藁にもすがる思いでセミナーへ。そこで足裏診断が行なわれ、法源が“放っておくとがんになる”などと脅す。結果、研修に参加させられたり、300万円以上と高額な掛け軸を購入する羽目になるのです」

 4泊5日の研修費用は225万円。1日2時間ほどしか睡眠を取らせず、精神的に追い込み、マインドコントロール下におくのだ。

■国際派女優の…

 いわば本丸たる福永が落城し、01年、法の華が解散したあと、残された者が手を拱(こまね)いていたわけではない。

「法源不在の間、後継団体である『天華の救済』が立て直しを担ってきた。さすがに足裏診断からは手を引いていますが、相変わらず本は無料で配っている。内容は教団幹部の手になる、“恋愛・夫婦関係もの”」(同)

 老年に偏向しがちだった信者層を若・壮年へ。新たな布教方針の胎動が見て取れるのだ。

――さて、福永出所から1年余を経た今年4月5日のことである。自ら古稀を迎えるこの日、彼は団体主催の「復活祭」に現れた。ロマンスグレーの髪はすっかり白く、声はしわがれていたが、190センチと立派な体躯と眼光の鋭さが醸し出す威圧感は相変わらずだ。

 そればかりか、7月に限っても法話会などが4度と精力的に動き回る福永。このうちのひとつ、20日に埼玉・蕨市で開かれたイベントでのこと。ペンライトを左右に一心不乱に信者600人が振るなか登場した彼はこう宣った。

「実はこんな話が舞い込んできた。“福永法源は本当に詐欺師だったのか否かを世に問いたい。映画をつくりたい”と言われたの。胸が熱くなり、すぐにお願いしますと答えていました」

「それで」

 と言葉を継いで、

「法師(=福永)の母親役をやって頂けるのが、あの国際派女優の島田陽子さん」

 黒のワンピース姿の島田当人が登壇すると、信者然として意気込みを述べる。

「魂も肉体も本当に喜んでおります!タイトルは『雷雨来たれ』。苦しいなかを喜びながら生きて行こうという意味です。先生(=福永)のお母様を演じるなんて本当におこがましいですが」

 ともあれ、目下、任意団体である天華の救済の今後を先の藤倉氏が占うと、

「法人の役員欄に法源の名がないとはいえ、ホームページなどから彼とのかかわりが明らかですから、宗教法人の認可がおりる可能性は極めて低い」

 とはいうものの、

「品川にオフィスを構え、関連企業もすでに片手ほどある。オウムから分かれた当時の『アレフ』や『ひかりの輪』より組織としてしっかりしており、復活への素地は整っているのです」

 人の不幸に付け入って、財産をさらっていった白蟻のような行為は、たとえ映画でも見たくないものである。

「ワイド特集 週刊新潮3000号を彩った華麗で卑怯な詐欺師たちの顔」より