史上初「本塁打&盗塁王」に挑むヤクルトの若武者

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 残り物には福がある――。後半戦早々、首位に躍り出たヤクルトの首脳は、この諺(ことわざ)を反芻(はんすう)しているはずだ。

 2010年ドラフト会議でのこと。ヤクルトは早大の斎藤佑樹投手(現・日本ハム)を1位指名するが抽選で外し、次の外れ1位指名も重複して抽選で外した。結局、外れの外れで1位獲得したのは履正社高の山田哲人内野手(23)だった。

 スポーツ紙デスクが語る。

「入団会見では特技の逆立ち歩きを披露していましたが、性格は地味でシャイ。周囲に気を遣い過ぎて、1、2年目は実力を発揮できませんでした。ただ、図抜けた身体能力は誰もが認めるところで、高校の先輩であるT-岡田(オリックス)をもじって、“T-山田”と呼ばれたりしていました」

 ブレイクは昨季。日本人右打者史上最多となるシーズン通算193安打を放って、一躍名を轟かせた。

 その山田が今季も大暴れだ。23本塁打は2位畠山(ヤクルト)に4本差のダントツ。打率3割2分8厘は1位川端(同)に8厘差の3位で、打点も1位畠山に6点差の3位。つまり「3冠王」が射程圏内だ。

 しかも、盗塁数は17と、1位梶谷(DeNA)に1差と肉薄している。“3割30本塁打30盗塁”、いわゆる「トリプルスリー」も狙える。

「3冠王」は王や落合ら過去7人、「トリプルスリー」は金本知憲や松井稼頭央など過去8人しかなしえていない偉業だが、プロ野球史上まだ誰も達成していないのが「本塁打王と盗塁王の同時達成」。かつて、西武の秋山幸二が本塁打王と盗塁王を獲得したが、同年に達成したわけではない。山田はこの前人未到の境地にも挑んでいる。

「メジャーのスカウトが、“スピードとパワーを兼ね備えている”と熱視線を送っています。メジャーで日本人内野手は評価が低く、昨オフも阪神の鳥谷がメジャー移籍を試みたものの破談に終わった。でも、山田なら実現するかも」(同)

 まずは記録達成に期待。

週刊新潮 2015年8月6日通巻3000号記念特大号掲載

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