まだ甲子園予選なのに早実に記者が殺到する大器「清宮ジュニア」

野球週刊新潮 2015年7月30日号掲載

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 関東地方の梅雨明けと時を同じくして、弱冠16歳の“怪物クン”にとって初めての夏が幕を開けた。球場に詰め掛けた報道陣は、実に26社90人と、高校野球の地区予選とは思えない破格の扱いである。プロ球団のスカウトも目を光らせる、“大器”清宮幸太郎クンを巡るフィーバーは過熱の一途を辿っているのだ。

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 大物ルーキーを擁する早稲田実業高校の初戦が行われたのは、台風一過の7月18日。午前9時の試合開始にもかかわらず、内野スタンドは3500人を超える観衆で埋め尽くされ、終盤には立ち見客が出る盛況ぶりだった。

 肝心の試合は、早実が8対4で東大和南を下したものの、“3番・ファースト”で初陣を飾った清宮クンは、

「あんなのですみません……。みっともないですね」と反省しきり。ポテンヒットで打点を稼ぐも、守備では平凡なライナーを弾くエラーを犯し、ほろ苦いデビューとなった。

 スポーツ紙記者が明かす。

「もし清宮がデビュー戦でホームランを打っていたら、同じ日に開催されたプロ野球のオールスター戦を差し置いて、翌日のスポーツ紙の1面を飾るのは間違いなかった。テレビ局も“一発狙い”で外野スタンドにカメラマンを配置していたほどです」

 初戦で肩透かしを喰らったものの、身長184センチ、体重97キロという文字通りの“大器”に対して、報道陣は熱い視線を送り続ける。

「早実の試合会場には、記者に“取材許可証”を配布するブースが設けられました。我々は“清宮ゲート”と呼んでいますが、高校野球の地区予選で、こんな取材対応が敷かれたのは、早実の先輩に当たる荒木大輔以来です。ただ、荒木にしても人気に火がついたのは甲子園で活躍してから。1年生選手を目当てに、これだけの記者が殺到するのは史上初でしょう。甲子園に出場すれば国民的スターになるのは時間の問題です」

 スポーツ紙はもちろん、一般紙も“清宮番”を置いて早実戦に密着する、異例の態勢が続いているという。

■打撃センスは「特A」

 さて、翌19日の試合では2本のタイムリー二塁打でチームをコールド勝ちに導き、続く20日も4安打3打点の活躍で、自ら汚名返上をしてみせた清宮クン。すでに“追っかけギャル”まで現れているというが、決して人気先行型ではない。

 ラグビー・ヤマハ発動機ジュビロで監督を務める清宮克幸氏を父に持ち、リトルリーグ時代には“エースで4番”として世界選手権を制した実力派だ。

 オリックス・バファローズのスカウト部長だった堀井和人氏も、その実力に太鼓判を押す。

「バッティングセンスは特Aやな。優秀なスラッガーは軸がぶれず、スウィングスピードが速いんやけど、彼はどちらの条件も満たしとる。西武の中村剛也や日ハムの中田翔のように球を引きつけて打つタイプやから変化球にも強い。いまドラフトに掛けられたとしても、わしが現役なら3位くらいで指名するやろな」

 高校時代に記者が群がった荒木や斎藤佑樹はプロに入ると鳴かず飛ばず。そんな早実の先輩と違い、清宮クンにとって甲子園は通過点でしかなさそうだ。

「ワイド特集 真昼の怪談」より