「遠藤利明」五輪担当相に目一杯献金という「平田牧場」経営者が感じた御恩

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 失礼ながら、華々しいオリンピックを担当するには、あまりにも地味で古臭い。遠藤利明五輪担当相(65)のことである。山形県を地盤とし、当選7回。2013年、県内の主だった建設業者などから集めた政治資金は1億4127万円に上る。要するに「古い自民党代議士」の典型のような御仁なわけだが、そんな遠藤大臣は地元にどんな“果実”を持ち帰ったのか。以下は「地元密着型」政治家の素顔がのぞく、事例の一端。

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 遠藤氏の政治資金管理団体「新風会」の2013年分の収支報告書を見ると、6月8日に新田嘉一、新田嘉七の両氏が法定上限の150万円をそれぞれ寄付していることが分かる。

 新田嘉一氏は山形県酒田市にある総合食肉卸売業「平田牧場」の会長。豚2頭から会社を成長させたと言われる立志伝中の人物で、その息子、嘉七氏は社長を務めている。ちなみに2人が寄付したのと同じ日、嘉一会長の妻が「遠藤利明後援会」に150万円、遠藤氏が代表を務める「自民党山形県第一選挙区支部」に嘉七社長の妻が50万円を寄付している。

 平田牧場は直営飲食店を全国で展開しているから、その名を聞いたことがある方も多いかもしれない。ブランド豚「平牧三元豚」などが有名で、そのエサには地元の田んぼで作られた「飼料用米」が配合されている。この「飼料用米」こそ、平田牧場と遠藤氏を結びつけるキーワードだ。

■新年会で祝辞

「平田牧場が、減反による調整水田で飼料用米を作ることを地元農家に勧め、養豚で本格的に飼料用米を使い始めたのが98年のことです。その頃から新田嘉七氏は、飼料用米生産は国の援助がないと成り立たない、と呼びかけていた。そのかいあってか、08年には農水省が、飼料用米を生産する農家に10アールあたり5万円の補助金を出すことを決定しました」(山形の政界関係者)

 遠藤氏が衆議院農林水産委員会の委員長に就任したのは08年の9月。それ以降、国のバックアップ態勢はさらに拡充された。

「09年度からは補助金が10アールあたり8万円に増額された。また、この年の4月には飼料用米を生産する農家を支援する法案などが国会で成立しました」(同)

 遠藤氏は法案成立を見届けた後、09年9月に農林水産委員会委員長を退任。そして、13年に平田牧場の新田親子らから寄付を受けたことは先述した通りだ。補助金の額が「10アールあたり最大10・5万円」に増額されたのは翌14年度からで、同年1月に催された平田牧場の新年会には、遠藤氏も来賓として招かれ、祝辞を述べている。

 一連の経緯について遠藤氏の事務所はこう回答した。

「政治資金は法令に従い適正に処理し報告しているところです」

 かたや寄付をした平田牧場の新田嘉一会長は、

「遠藤さんへの献金は会社とは全く関係ない。家族で相談し、それぞれ個人で献金したのだから、何の問題もないはずです」

 政治資金の問題に詳しい神戸学院大学(法学部)の上脇博之教授が言う。

「確かに法的な問題はないが、誤解を招きかねない」

 今後は「地元」のためではなく、5年後のオリンピックのためにしっかり汗をかいてほしいものである。

「ワイド特集 天地の狭間のドタバタ劇」より

週刊新潮 2015年7月16日号掲載

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