父娘喧嘩のパロディCMを制作「大塚久美子」社長が恐れる骨肉の再燃

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〈幸せをレイアウトしよう。〉というのが大塚家具の新しい企業スローガンらしい。“幸せのレイアウト”に大失敗し、創業者である父、勝久元会長(72)との間で壮絶な親子喧嘩を繰り広げたのは、他ならぬ大塚久美子社長(47)であるから、自虐的な冗談にしか聞こえないが、彼女は現実から目を逸らしたいだけなのかもしれない。何しろ、そこには今も、「骨肉の争い」の火種が燻っていて……。

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 7月3日から放送が始まった大塚家具の新しいCMも相当に人を食った内容となっている。

 タレントの平祐奈が演じる「娘」が大塚家具の店内を歩いている。女性スタッフが彼女にインテリアについて熱く語ると、「父親」役の男性が“語りますねぇ”と嫌味を一言。それに対して女性スタッフが謝ると、「娘」がこう言うのだ。

「父がすみません」

 別のバージョンでは、父と娘が店内で言い争いをしており、そこへ「母」が登場して「喧嘩しない!」と一喝。いずれのバージョンにも、明らかに世間を唖然とさせた「父娘喧嘩」のパロディの要素が含まれているのだ。

■佳境を迎える裁判

「7月2日、このCMなどの発表会が行われたのですが、その後のぶら下がり取材で久美子社長は、今年3月の株主総会後、父の勝久さんとは一度も会っていないと言っていました。つまりこのパロディCMは、事前に勝久さん側に何も伝えずに作った可能性が高い」(経済誌記者)

 家具業界関係者が言う。

「株主総会の後、勝久さんは“お客様にも世間にも申し訳なくて表を歩けない”と話していた。彼がそういう考えであることを踏まえると、今回のCMはバカなことをしたと思いますよ。悪意が感じられてみっともない。勝久さんが見たら激怒するでしょう」

“ノーサイド”を宣言した株主総会から3カ月余り。その間、久美子社長にとって、良いニュースが全くなかったわけではなく、

「大幅な値引きを敢行した“おわびセール”が好調で、5月の全店売上高が前年同月比70%増に。6月度も約50%増でしたが、これは一時的なものとみられ、先行きは相変わらず不透明です」(先の経済誌記者)

 しかし、今後の売上高以上に久美子社長が頭を悩ませている問題がある。それは、大塚家の資産管理会社「ききょう企画」が15億円分の社債償還を求めて勝久元会長から訴えられている裁判の帰趨について――。

「久美子さんと勝久さんが全面対決する構図となっているその裁判はいよいよ佳境を迎えており、7月13日には口頭弁論の期日が入っている。その日、2人は法廷で顔を合わせる可能性があるのです」

 と、大塚家具関係者。

「ききょう企画を巡る裁判が全て勝久さん側の勝ちに終わると、同社が保有する大塚家具株は事実上勝久さんのものになり、彼は約28%もの株を保有する大株主となる。そうなれば社としては勝久さんの意向を全く無視するわけにもいかなくなるし、勝久さんがさらに株を買い進めて持ち株が4割に近くなってくると、会社の経営権を巡って五分五分の戦いができます」

 和解を済ませているならまだしも、未だに続いている「父娘喧嘩」のパロディCMなど笑えるはずもない。

「ワイド特集 天地の狭間のドタバタ劇」より

週刊新潮 2015年7月16日号掲載

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