ギネス級「88ミリ」を生産した「哀川翔」の5000匹「カブトムシ工場」

芸能週刊新潮 2015年7月9日号 掲載

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 いかにも自らの強さを誇るような独特のフォルムと、宝石のごとき硬質さとツヤ。少年時代、カブトムシに心をときめかせた男性は多いだろうが、大人になり、世俗にまみれるうちにそうした純粋な心は失われてしまう。しかし、少年の心を持ち続け、ついに88ミリというギネス級のカブトムシを育て上げることに成功した男がいる。俳優の哀川翔(54)だ。その秘密を探ると、茨城県にある「カブトムシ工場」に辿りついた――。

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 哀川がそのカブトムシを東京・中野にある昆虫ショップ「むし社」に持ち込んだのは6月15日のこと。

「デジタル式のノギスで計測したところ、角の先端から翅の先までの全長が88・0ミリを記録し、2012年に出た87・3ミリの記録を3年ぶりに更新したのです」

 と、「むし社」の店員。

「体のバランスや色艶も申し分ない美しい個体でしたが、値段は……見当がつかないです。ウチではカブトムシのオス1匹を650円ほどで売っていますが、大まかな相場があるだけで要するに時価。今回の個体を昆虫のオークションに出した場合、人によっては高値をつけるかもしれません」

 この件が翌日のスポーツ紙などで、

「ギネスに申請したい」

 という哀川のコメントと共に報じられて話題になったのだが、「88・0ミリ」と言われても素人にはピンとこない。あるペットショップの店員によれば、

「すごい記録です。野外採集でも、卵から育てる場合でも、80ミリ台後半の個体にはなかなかお目にかかれない。哀川さんは、長い時間をかけて大きい個体同士を掛け合わせたのでしょう」

■一般家庭での飼育法

 そのギネス級のカブトムシが「生産」されたのは、茨城県かすみがうら市にある「株式会社ミタニ」の養殖場。哀川はその一画を自分専用の飼育所として借り、なんと、毎年5000匹ものカブトムシを羽化させているのである。

「哀川さんのカブトムシをウチで管理するようになったのは、確か4、5年ほど前からでしょうか。こちらには哀川さんご本人も時々お越しになる。傍(はた)から見ていても、本当にカブトムシが好きなんだな、という様子が伝わってきます」

 そう話すのは、「ミタニ」の社長である。

「今回は88ミリという大きさが話題になりましたが、ウチの養殖場ではエサの研究を重ねた結果、近年、それに近いサイズのものは結構出ている。今年は87・5ミリのカブトムシも出ました」

 哀川はこの「カブトムシ工場」で育てた個体を一般販売もしているというから、もはや趣味の領域を大きく逸脱して、完全に「業務」である。一般人がこうした環境を整えるのは不可能に近く、故に大型のカブトムシを育てるのは難しいように思えるが、ご安心あれ。

「80ミリ台のカブトムシを育てるのは、一般家庭でも不可能ではないですよ」

 と言うのは、さるカブトムシ養殖業者。

「一般的な30センチ四方のケースは大体1500円、そこに入れるマット(腐葉土や堆肥が入った土)は2000円ほどで昆虫ショップなどで買えます。1ケースに3、4匹の幼虫を入れ、マット交換のタイミングと、温度を20度から25度に保つことに注意する。単に大型の個体を掛け合わせるより、とにかく生育環境を丁寧に整えることが大事です」

 少年の頃の夢よもう一度。

「ワイド特集 雨降って地固まらず」より