獄中からメディアに抗議! 「私の人権」を主張するオウム「菊地直子」

社会週刊新潮 2015年5月7・14日ゴールデンウイーク特大号掲載

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 死者13名、負傷者約6300名。世界史上に残る未曾有のテロ、地下鉄サリン事件では、今なお重篤な後遺症に苦しむ被害者が多い。その現実を直視せず、未だ反省の境地に達していないオウム関係者は少なくない。“走る爆弾娘”との異名を取り、17年に及ぶ逃亡生活で世間を震憾させた、菊地直子(43)もその一人だ。

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〈虚偽の事があたかも事実であるかのように報道されている〉〈甚だしく私の人権を侵害するもの(中略)。特に私はサリンの製造には関与しておらず起訴もされていない時点でこのような犯人の扱いを受ける事はもっての他〉〈無罪の推定を享受する地位にある私の人権は著しく不当に侵害されたことは言うまでもなく明らかで、その不利益は量り知れないものがあります〉

 これらの文言は、地下鉄サリン事件の殺人・殺人未遂容疑で彼女が逮捕されたことを受け、小誌(「週刊新潮」)が報じた2012年6月14日号の記事に対する猛抗議だ。記事中の〈サリン製造に関わるようになる〉などの記述が承服できないとして、彼女は、東京拘置所の“獄中”から内容証明郵便で、謝罪を求める通知文(4月8日付)を送ってきたのである。

 彼女の逮捕案件は地下鉄サリン事件に加え、3件のVXガス事件と都庁小包爆弾事件だった。サリンなどの化学兵器を製造した土谷正実死刑囚率いる「第二厚生省」に所属していたため、製造への関与が疑われていたのである。

■届かぬ被害者の言葉

 確かにこのうち検察が起訴したのは、小包爆弾による爆発物取締罰則違反幇助と殺人未遂幇助だけだった。

「彼女の気持ちも分かりますが、地下鉄サリン事件の容疑での逮捕当時、メディアがその警察発表に基づき、記事を書くのはしょうがないと思います。それを不当と言ってしまうと、新聞、テレビなど全てのメディアに抗議しなければならず、無理がある。本来なら捜査当局に抗議すべきでしょう」

 とはオウム事件に詳しい有田芳生・参議院議員だ。

 昨年6月、菊地は東京地裁で懲役5年の実刑判決(求刑は7年)を言い渡された。殺人未遂幇助のみが有罪とされたが、これすら不服として控訴した。その判決後、都庁小包爆弾事件で左手の指を失った被害者、内海正彰氏は、次のようなコメントを発表した。

「爆発物事件だけでなく、証拠がそろわないという理由で(菊地被告が)起訴されなかった地下鉄サリン事件の被害者のことも思い起こしてもらいたい。私以上に多くの憤りと悲しみを持った人々のことを考えて、罪に服してほしい」

 しかし、残念ながら、彼女の抗議書からは、自分の権利意識の強さしか感じられない。VXガスで殺害されかけた元『オウム真理教被害者の会』の永岡弘行会長は悲憤に堪えないという。

「私は昨年5月の初公判をはじめ、3回、菊地の裁判を傍聴しました。彼女には反省の念が足りないし、常識もないと思った。“分かりません”“知りません”と言うばかりで、上の空。私に謝罪の言葉などなく、“知らぬ存ぜぬ”の態度は麻原彰晃と同じです。自分がオウムという償いきれない事件を犯した団体に属し、労力を提供していたというだけで、結果責任がある」

 被害者の重い言葉をどこまで踏みにじるのか。

「ワイド特集 魔女と淑女と悪女の冒険」より