大衡村「セクハラ村長」が出した被害者「女性職員」の公私混同報告書

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 十数回に及ぶ性行為強要、1300通のセクハラ・パワハラメール送付、関係継続を強いる誓約書の提出――。大衡(おおひら)村の「セクハラ村長」騒動で「被害者」の女性職員が主張する“事実”である。この通りならば、「極悪村長」であることは疑いないが、一方、前村長側が出した「弁明文書」には、報じられない被害者側の“事実”も書かれていた。

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 その文書が撒かれたのは、4月頭のこと。渦中の跡部(あとべ)昌洋前村長(66)の後援会関係者が言う。

「セクハラ提訴を受け、跡部さんは議会を解散し、4月8日に辞職した。その後で後援会幹部に“事情を知ってほしい”と配ったのです。作成者は村長の代理人弁護士で、8枚に亘って一連の経緯が細かに書かれていました」

 前村長が1000万円の損害賠償請求訴訟を起こされたのは、3月13日。原告の50代の女性職員を、仮に長崎恵子さんとすると、以後、彼女の代理人弁護士は、冒頭のメールや誓約書、また、跡部氏から渡されたアパートの合鍵などの証拠を出し、前村長の行為を「まるで封建社会か」と非難した。

 一方の跡部サイドは「大変仲は良かったが、セクハラはしていない」などと否定した他は細かい説明を避けているため、仙台から車で約1時間、人口6000人弱の宮城県唯一の村は、「セクハラ村長」のお膝元として、一躍“全国区”となってしまったのだ。

 ところが――。

「文書を読むと、騒動のキッカケは長崎さんを名指しで批判した一通の告発文と見て取れるのです」

 と、先の後援会関係者。

■取り下げられた質問

「昨年8月以降、跡部さんや副村長宛に、相次いで“長崎さんが職員の地位を利用し、孫を保育園に不正に入れた”との告発文書が届いたそうです。村が調査をしたところ、何と当の保育園の理事長がそれを認めてしまった、と」(同)

 また、前後して、彼女は、村の行事での不手際や役場の会議での不適切発言により、顛末書や反省文を提出させられていたというのだ。

 関係者が続ける。

「不正入園の件を聞いた村議が11月、議会で追及しようという動きを見せた。対応に役場が苦慮する中、急に長崎さんが弁護士を入れ、不正はなかったということばかりか、前村長のセクハラ、パワハラ行為も告発した。これによって、保育園の話は立ち消え、3月の提訴に至った、とあるのです」

 前村長側は暗に、長崎さんが自らの公私混同発覚を恐れ、追い込まれて告発を始めた――と言わんとしているようなのだ。

 文書に登場する前村議は、

「確かに私は保育園の件を質問するつもりで、彼女にも電話で糺した。でも、長崎さんが弁護士を入れて大変な騒ぎになったので取り下げたんだよ。私が彼女を追いつめちゃったのかな」

 と経緯を認めるものの、長崎さんサイドは取材拒否。

 一方、保育園の理事長は、

「お孫さんがうちに入ったのは確かですが、正規の手段です。村の調査にもそう話しています」

 と全否定するから、事の真相は藪の中。今後の裁判の行方に注目が集まるが、前村長の知人は言う。

「双方の主張は真っ向から異なる上、跡部さんの奥さんは激怒し、“長崎を訴える”と息巻いています。そうなると更なる泥沼化は必至」

 4月末には新村長が決まる大衡村。しかし、平穏な日々が戻るのはまだまだ遠いというワケなのだ。

「ワイド特集 人間の愚かさについて」より

週刊新潮 2015年4月23日号掲載