“号泣県議”の陰で悪質不祥事がまんまと見逃された――橋下徹チルドレンは不祥事のデパート(4)

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 これまで「橋下徹チルドレンは不祥事のデパート(1)(2)(3)」では「維新」を率いる橋下徹・大阪市長(45)の子供たち(チルドレン)の散々な行状を見てきた。選挙を前に見限られた上西小百合代議士(31)の騒動の一方、なんとか逃げおおせた橋下チルドレンもいるという。

 大阪維新の会とは無関係ながら、西宮維新の会を名乗る元兵庫県議の野々村竜太郎氏が耳目を集めたのは、昨夏のことである。

“号泣県議”の特異なキャラクターと大胆な公金詐取。それがお茶の間の失笑と怒りを買っている陰で、自身の醜聞があげつらわれずに済んだ維新の府議がいる。

「奥野康俊氏は、毎月支給される約60万円の政務活動費のなかから、閉鎖したにもかかわらずホームページ管理費と称して、実兄の会社に毎月7万5000円、合計で262万円を還流させていました。つまり、税金を親族にそのまま渡していたということで、悪質な事例です」

 と話すのは、ある自民党市議である。ホームページ管理費の相場は2万円というから、かなりの利益を出していたことになる。

 それだけではない。

「彼は“ヤジ将軍”と呼ばれていましてね。開会中はしきりに大声を張り上げるものだから、松井知事も何度か、“黙れ”と叱責したほど。今回の府議選には出馬しませんが、選挙区を移して市議選に鞍替えし、ちゃっかり維新公認で出ている。まったく、有権者をバカにしていますよね。あとね、上西さんの場合、選挙があるから厳しい沙汰が下されたけれど、不祥事チルドレンの一部はお咎めなし。それに、問われている任命責任を、橋下さんはとっていない。一事が万事、維新は身内に甘いんです」

 政治評論家の浅川博忠氏が、これを受ける。

「私はかつて、維新が“無法地帯のような政党になる”と予測したことがある。実際、そのようになりました。いや、無法というより、無秩序政党というくらい、政党としての体をなしていないのです」

 最後に、ジャーナリストの徳岡孝夫氏が、

「橋下市長は、何としてでも守らないといかん文楽を軽視してきましたよね。その文楽で都構想を喩えるなら、近松門左衛門作で、飛脚と花魁が運命的な恋に落ちる『冥途の飛脚』という演目があります。筋は、飛脚が花魁を身請けするため、預かっていた小判にやむなく手を出してしまうというもの。当時の飛脚は、いわば銀行のようなものなんですよ」

 と前置きしたうえで、こう解説する。

「他方で、都構想が実現すればバラ色の未来があるかのように市長は訴えますが、果たしてそうでしょうか。私には、本来ないものをあるかのように主張した飛脚の有り様とかぶって映るのです」

 飛脚にはもちろん、悲劇が待ち受けていた。ポンコツばっかりが神輿を担ぐ都構想の運命やいかに――。

「特集 中身はポンコツばっかり『橋下チルドレン』不祥事一覧」より

週刊新潮 2015年4月16日号掲載

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