引退がちらつく横綱「日馬富士」が準備万端「第二の人生」

スポーツ 週刊新潮 2015年4月16日号掲載

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 かつてこれほど“勉強熱心”な横綱がいただろうか。眼前には横綱・白鵬という高い壁が立ちはだかり、後ろからは逸ノ城や照ノ富士といった新鋭に激しく追い上げられている横綱・日馬富士(30)が熱心に励んでいるのは、土俵の外での“勉強”。「第二の人生」の準備に余念がないのである。

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 最後の優勝は2013年の11月場所。以降、10勝5敗や11勝4敗といった成績が続いている日馬富士について、相撲評論家の中澤潔氏はこう話す。

「彼には横綱という地位は荷が重すぎた。欠陥横綱と言わざるを得ません。去年、2場所休場しましたが、今後もケガでの途中休場が多くなれば、横審を始め、引退を求める声はより強くなるでしょう」

 ちらつき始めた引退の2文字。力士に限らず、スポーツ選手が現役引退後、途方に暮れ、時に道を踏み外す例は数多ある。が、日馬富士にその心配は無用で、

「彼には妙に安定志向なところがありますから、引退後のビジョンもしっかり描いている。5年前には、母国・モンゴルで警察官の資格を取得しています」(相撲協会関係者)

 土俵で“勝ちボシ”を挙げられなくなって引退に追い込まれた横綱が、“犯人(ほし)”を挙げる警察官になるとは悪い冗談のようだが、

「警察官資格は、引退後、本当に食うに困った時のための“保険”でしょう。本人の一番の希望は、モンゴルと日本をまたにかけたビジネスの世界で成功することなのです。彼の故郷はゴビ砂漠に近い田舎にあるのですが、すでに自身のタニマチに投資してもらい、故郷の村のインフラ整備を行ったりして将来のビジネスのための布石も打っています」(同)

■コンパにも参加

 さらに昨年春には、法政大大学院の政策創造研究科に入学、本気で経済などの勉強に取り組みだした。

「入学試験で彼の面接をするまでは“本気で学ぶつもりなのか”と心配していたのですが、実際に彼の話を聞いてみてその思いは払拭されました。彼は“モンゴルの経済発展について理解を深めたい”などと、自分が研究したいテーマについてきちんと語っていました」

 そう話すのは、横綱が所属するゼミ「地域産業プログラム」を担当する岡本義行教授だ。

「ゼミのコンパにも積極的に参加し、すぐに他の学生とも打ち解けていた。ただ、今年1年間は休学することになっている。ウチのゼミは週に1回だけなのでそれほど負担にはならないはずなのですが、本人は“ゼミのことが気にかかってしまって相撲に集中できない”と言っていました」(同)

 なるほど、土俵での成績が振るわないのは、“ゼミ”が気にかかっていたせいだつたのか……。

「彼は本当に真面目な性格ですからね」

 と、岡本教授は言う。

「授業はディスカッションが中心となりますが、積極的に質問しますし、講義に対する理解度も高く、他の留学生より優秀ですね。私も非常に評価していますよ。プレゼンする機会が年に数回あるのですが、パワーポイントも使いこなしていて、見事なものです」

 横綱としては“可”程度の成績しか残せずとも、キャンパスではしっかり“優”を獲得していたのだ。

「ワイド特集 人間の証明」より