仁王立ち「翁長の覚悟」を読み違えた「菅官房長官」

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 ついに「軍師」の勘に陰りが見えてきた。

 沖縄県の翁長雄志知事との会談から一夜明けた4月6日、菅義偉官房長官は、

「まあ、最初はこんなもんだよ。翁長には翁長の立場があるから」

 と言って、余裕の表情を浮かべたという。が、そもそも「翁長の立場」を読み違えていたのは、菅氏その人だった。

 自民党関係者によれば、

「西普天間住宅地区の返還式に合わせた今回の沖縄訪問は、3月上旬から練られていたものでした。菅さんは昨年12月と今年1月に翁長さんが上京した際はいずれも面会を拒否しましたが、党内から“頑な過ぎる”と批判の声が上がり、水面下でタイミングを探っていたんです」

 翁長知事が普天間基地の辺野古移設に関わる海底ボーリング調査の中止を求めたのは、その矢先の3月23日のことだった。

「しかも、1週間以内に中止しなければ、埋め立てに必要な岩礁破砕許可を取り消すという。この表明の背景には、支持母体の共産党側から翁長さんへのプレッシャーがあったのですが、菅さんをはじめとする官邸にとっては寝耳に水。その上もともと那覇市長時代に辺野古移設を推進していた翁長さんとはいずれ折り合えるだろうと考えていたのに、彼が支持母体の言いなりだということが露呈したわけです」

 で、結果的に対立が激化する中での会談と相成ったわけだ。

 政治部デスクが言う。

「今回の会談で翁長さんは“日本の国の政治の堕落”“上から目線”などと政府の方針を批判しましたが、この挑発的な姿勢も予想以上のものだったそうです。これまで官房長官として調整力を評価されてきた菅さんですが、今回ばかりは翁長さんの真意を心底、測り兼ねていると思いますよ」

「軍師」はどんな策を講ずるのか。

週刊新潮 2015年4月16日号掲載

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