留任決まった「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)理事長」の“高額報酬”と“課題”

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 総理大臣と最高裁判所長官は約5000万円、国務大臣は約4000万円――。

 公に尽くす人々の年俸は、その重責によって違いがある。翻って約137兆円の公的年金の運用責任者が、約3100万円の報酬を得るのが高いか安いかは判断が分かれるところだろう。

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の存在が、世間の注目を集めたのは昨秋のことである。

「昨年10月に国内債重視の運用から、株や外債などのリスク資産への投資を倍以上に引き上げることになった。続いて、今年1月には理事長の年俸が約6割も上がったのです」(経済部記者)

 理事長の三谷隆博氏(66)は、日銀理事から日本IBMの特別顧問を経て5年前から現職。3月末で任期満了を迎えるが、3月24日に、所管する塩崎恭久厚労相から続投が発表された。

 そもそも、運用見直しのきっかけは、一昨年の11月に安倍政権の有識者会議がまとめた提言だった。官邸では、高い専門性を持った人材の確保が必要との結論に至り、閣議決定で給与については独法の制約からGPIFを除外したのだ。

「決定を受け、外部コンサルタントのご意見や、他の公的金融機関の水準との整合性を考慮し決めました」

 とは、当のGPIFの広報担当者。“擁護するわけではないが”と前置きした上で、経済誌記者が言う。

「米国の年金運用組織トップの年俸は約5000万円。欧米に比べて、日本の報酬額では有能な人材が集まらないという指摘はあります」

 待遇を改善してもなお、課題を指摘する声もある。

「決定権が理事長に集中しているため、有能な他の理事の意見が反映されない。塩崎厚労相は理事を増やして、理事会による合議制を採用する組織改革を訴えましたが、官邸との調整不足で今国会での法案提出は見送られました」(政治部記者)

 ともあれ、運用のお手並みを注視! である。

週刊新潮 2015年4月2日号掲載

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