大塚家具「会長夫妻」が人目を憚らず長女と言い争ったあのワンシーン

ビジネス 企業・業界

  • ブックマーク

Advertisement

 今、世間で最も注目されている父娘は大塚家具創業者・大塚勝久氏(71)と長女・久美子社長(47)ではあるまいか。では、妻であり、母親である千代子夫人(68)の考えはどうなのだろう。実は、去年の株主総会では娘を罵っていたというのである。注目の株主総会は来る3月27日。プロキシーファイト(委任状争奪戦)を制するのはどっちだ。

 ***

 今から3年前、大塚親子の衝突を目の当たりにした人がいる。創業の地、埼玉県春日部市在住の知人だ。

「3年前に、勝久さんを有明の本社にお訪ねした時のことです。ちょうど久美子社長と千代子夫人もいました。話の流れで、春日部の1号店が話題になりました。勝久さんは“老朽化が激しいので、閉店して市内の別の場所に移して大型店舗をまた出店させたい”と言ったのです。すると久美子社長は“駅前で立地は良いから、移転ではなく縮小してやるべき。郊外の大型店はリスクが大きい”と真っ向から反対。理詰めで攻めまくりました」

■“現場は疲弊している”

 ここで千代子さんが間に入ったという。

「夫人は“おとうさんなのよ”とたしなめましたが、久美子社長は“部外者は黙ってて”と言ったんです。夫人は“私たちは親子なのよ”と言っても久美子社長は聞く耳を持ちません。夫人は勝久さんに対して“社長を譲るから、こんな目に遭うのよ”と慰めていました」

 3年前は夫と娘の間を取り持とうとしていた夫人だが、その2年後、娘に対して全く別な顔を見せる。

 昨年の3月28日、大塚家具本社の株主総会でのこと。

「ある株主が議長の久美子社長に対して“店舗の内装を業者に頼まず、閉店後に社員にやらせている。接客で疲れ切った後に内装まで、と不満を言う社員もいる。現場の状況を把握しているのか”と質問しました。久美子社長が“足りない面もありますが”と言葉を濁すと、突然、千代子夫人が挙手をして発言を求めました。“私は社長の母ですが、社長は人事権を乱用しています。そのことは監査役も知っていると言っている。(監査役の名前を挙げ)あんたも知っているでしょう。現場は疲弊しています!”と声を荒らげたのです。久美子社長は“ちょっと待ってください。落ち着いて話してください”と抑えにかかったのですが、そのうち自分も興奮してきて、収拾がつかなくなってしまった。続いて勝久会長までもが挙手をした。しかし、母と娘のバトルが続いて、久美子社長は発言者を指名するどころではなくなっていました」(同)

 この騒ぎを止めたのは株主の一人だった。

「“議長不適任ということで解任動議を出します。今なら私の意見に賛同する方も多い。多数決の原則で議長を解任されますよ”と言うと、久美子社長も黙ってしまいました。株主は続けて“良くも悪くもこの会社は一族経営です。だから、一族でよく話し合いをしてください”と円満に解決するよう求めたのです」(同)

 その後、少しも円満解決にならなかったことはご承知の通りだが、久美子社長をよく知る人物は言う。

「先日、社長に会いましたが、どうしてこんなことになったのか、と涙をこぼしていました」

 プロキシーファイトは久美子社長の勝ちというのが大方の見方だが、大塚夫妻はまさに愛と憎しみの「土壇場カップル」である。

「ワイド特集 愛と憎しみの『土壇場カップル』」より

週刊新潮 2015年3月26日花見月増大号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。