中国へ「6000億円投資」伊藤忠の大博打

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 約6000億円。伊藤忠商事が、中国国有企業グループに投資する額だ。自己資本の4分の1にあたるというから、大勝負である。

 投資先は、1979年に中国政府主導で設立されたコングロマリット、中信(CITIC)。金融に強く、中国1位の信託会社と証券会社、7位の銀行を傘下に持つ。中国が国有企業改革を進めている中、CITICは子会社のCITICリミテッドに資産を集約し、香港証券取引所に上場させた。

「昨年7月に提携したタイの華僑系財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと設立した共同出資会社が、CITICリミテッドの発行済株10%を4月に取得。10月には13・4%相当の優先株式を取得予定で、私どもの出資額は約6000億円となります」(伊藤忠)

 中国から撤退する企業も増えている中、“逆張り”の大博打にも思えるが、

「CITICリミテッドの2013年度連結純利益は、約7300億円。その1割が取り込めることになります。またCITIC、農業や食料品事業に強いCPグループと戦略的業務提携を結ぶことで、中国・アジアを最重要地域とする、非資源分野中心の成長戦略を大きく進められます」(同)

 経済ジャーナリストの松崎隆司氏は、

「中国富裕階級の日本製品に対するニーズは大きい。その意味でこれは、昔からの中国とのパイプを生かし、他の商社には作れない大きなマーケットで勝負するための先行投資でしょう」

 としながらも、

「政権が代わるとガラガラポンで、市場から排除されたり、資本を接収されたりするリスクがある。もちろん“中国通”の伊藤忠はよく知っているでしょうが」

 吉と出るか、凶と出るか。

週刊新潮 2015年2月5日号掲載

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