パチンコ機器メーカー「セガサミー」の「里見治」会長宅 銃撃犯が慌ててミスした自動式拳銃の取扱い

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 未明の住宅街に鳴り響いた銃声。後に残されたのは、空薬莢1個と未使用の銃弾3個――。大手パチンコ機器メーカー「セガサミーホールディングス」の里見治(はじめ)会長兼社長(73)の自宅はなぜ銃撃されたのか。目下、捜査陣が注目しているのは、「カジノ利権」を巡るトラブルである。

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 東京・板橋区にある里見会長の自宅に常駐している警備員が「ドン」という発砲音を聞いたのは1月14日未明だ。通報を受けて駆け付けた警察官が薬莢と銃弾を発見、自宅の門の照明が破損していることなどを確認した。

「里見会長の自宅を巡っては、1月8日にも“発砲音がした”との110番通報が板橋区内の公衆電話からあった。この時も警察官が駆けつけましたが、被害は確認できなかった」

 と、社会部デスク。

「警察は事件現場に未使用の銃弾3個が落ちていたことに注目している。わざと銃弾を置いたのではなく、銃撃する際に落としたと見ているのです。そのことから、犯人は拳銃の扱いに慣れていない人物、との見方を強めています」

 銃器評論家の津田哲也氏が言う。

「自動式拳銃は一回スライドを引けば連続して撃てる。今回の実行犯は撃とうとして何度もスライドを引いたので銃弾を落としてしまったのでしょう。間抜けな犯人像が浮かびます」

 先の社会部デスクは、

「警察は8日に110番をした男が14日に事件を起こしたと見ている。里見会長に危害を加えるつもりはなく、自宅を撃つことによって会長を“脅す”のが目的だったのでしょう」

 問題はその“脅し”の背景事情だが、

「目下、警察は里見会長周辺のトラブルの洗い出しを進めているものの、まだ絞り込めていない。ただ、“カジノ絡みじゃないか”と見立てている捜査員が多いようです」(同)

■「利権の争奪戦」

 安倍晋三総理は先日召集された通常国会で「カジノ法案」を成立させたいと意気込んでいるというが、

「これまで、カジノ構想で先行していたのは里見会長ではなく、ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生会長だった。岡田会長は東京・お台場にカジノを誘致しようと目論んでいましたが、途中、タッグを組んでいたラスベガスの“ウィン・リゾーツ”との関係が悪化。で、急失速してしまったのですが、それを尻目に“主役”に躍り出たのが里見会長だったのです」

 そう話すのは、カジノ構想に詳しいジャーナリスト。

「韓国のカジノ業者と合弁会社を設立し、カジノ運営のノウハウを学ぶべく動き始めている里見会長は安倍総理との関係も良好。また、“お台場構想”が立ち消えになるにつれ、横浜が候補地として浮上した。昨年夏には里見会長、菅義偉官房長官、林文子横浜市長が密かに会い、カジノについて話し合ったとも言われています」

 横浜市政関係者の話。

「セガサミーは早くから横浜に目をつけていたようで、数年前には“みなとみらい21”地区の土地を取得したこともあった。ただ、有力候補地である横浜の開発に関しては、暴力団も絡む利権の争奪戦が始まっていると囁かれています」

 いずれにせよ、「カジノ解禁」の日が迫るにつれ、水面下の争いも激しさを増す。今回の銃撃事件は、熾烈な攻防の始まりを告げる「号砲」だったのか――。

「ワイド特集 男の顔は履歴書 女の顔は請求書2015」より

週刊新潮 2015年1月29日号掲載

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