無能さを露呈する「行けたら行く」という返事

社会

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■あいまいな返事は迷惑

「来週の飲み会、来れるかい?」

「うーん、行けたら行くってことで……また改めて連絡するってことにしておいて」

「行けたら行く」というあいまいな返事をする人がいます。来るのか、来ないのか、はっきりしないのです。

 もちろん、本当にスケジュールが未定で、そうとしか答えられない場合もあるでしょう。しかし、この「行けたら行く」というフレーズは、往々にして社会人としての評価を下げる「余計な一言」だ、と指摘するのは、齋藤孝さんです。齋藤さんは著書『余計な一言』の中で、このフレーズの問題点を次のように指摘しています。

「このようなあいまいな返事は、幹事にとっては極めて迷惑です」

 その人が出席するか否かで予約の取り方が変わる可能性があるからです。だから、本当に参加できるのかどうかわからない場合には、「その日はやっぱり無理かな」と、マイナスの返事を早めにしたほうがいい、というのが齋藤さんのアドバイスです。当日になって、行けることになった、やっぱりどうしても行きたい、となったら早めに「悪いんだけど、参加できない?」と言えばよいのです。

 はっきり断ると角が立ちそうで……と気づかう人もいるかもしれません。しかし、実はきちんと断るほうが相手のメリットにもなります。

「早めに断られれば、幹事の側の自由度や選択肢が増えるのです。代わりに他の人を誘うこともできるし、店を変更することもできるかもしれません。その結果、より楽しい飲み会になるかもしれないのです」(『余計な一言』より)

■「できたらやる」は無能のしるし

 飲み会程度ならば、そう深刻に考えなくてもいいかもしれません。しかし、これがビジネスの場となると、話は別です。齋藤さんはこう述べています。

「成功している経営者は、『できたらやる』という考え方は決してしません。有名な投資家のウォーレン・バフェットは、『ほとんどにノーを言うことが自分の今を築いてきた』と言います。そんな中でのイエスは、本当に価値のあるイエスであったとも語っています。

 私の身近なところで言えば、出版業界には、企画倒れのおおい編集者と、やると決めたことは確実に形にする編集者がいます。

 両者の違いは、何でしょうか。私の知る限り、敏腕と言われる編集者は、『できたらやります』『条件が整ったらやります』というような言葉を絶対言いません。やると決めたら、どんな障害でも乗り越えて実現させています。『できたらやる』ではなく『やると決めたからにはやる』『何が何でもやる』のです。

『できたらやります』という人は、面倒なことにぶつかると、すぐに『やらない』理由づけを自分勝手にしてしまいます。だからそういう態度の人は、どの企画もあいまいになってしまい実現性が低い。そういう人は結構多いのです」

 何とも厳しい指摘だが、頷く方も多いのではないでしょうか。とりあえず「行けたら行く」「できたらやる」といったフレーズを、「余計な一言」だと意識して、封印するところから始めてみるといいかもしれません。

デイリー新潮編集部