「生老病死」が生む言葉の力/『病から詩がうまれる 看取り医がみた幸せと悲哀』

社会

「なぜ私たちでなくてあなたが?/あなたは代って下さったのだ/代って人としてあらゆるものを奪われ/地獄の責苦を悩みぬいて下さったのだ(一行アキ)ゆるして下さい らいの人よ/浅く、かろく、生の海の面(おも)に浮かびただよい/そこはかとなく 神だの霊魂だのと/きこえよいことばをあやつる私たちを」

 東大名誉教授であり、「看取り医」として今も高齢者への訪問診療をつづける著者は、かつて精神科医・神谷美恵子さんの詩に強い衝撃を受ける。敗戦前、医学生時代の彼女がハンセン病施設長島愛生園にしばらく滞在した折の作品で、病んでいる人に対する申し訳なさ、負い目の感情を素直にうたったものだ。

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