免疫系を狂わせた「寄生生物の不在」/『寄生虫なき病』

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 表紙が気持ち悪い寄生虫の写真で、タイトルが「寄生虫なき病」。それだけで本書を手に取ることをやめてしまう人がいるとしたら、あまりにももったいない。寄生虫は確かに重要な役割を占めるが、本書の主人公はあくまで微生物やウイルスをも含む、寄生生物である。

 人の腸内には古細菌やウイルスなどが千種類、総数では百兆個もの寄生生物が住みついている。人類発祥以来の長い歴史の中で、ヒトはこれらの寄生生物と「共生」してきた。それらは生態系ともいえる絶妙のバランスで維持されてきたが、産業革命以来の衛生革命によって急速に失われつつある。...

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