本屋大賞『村上海賊の娘』はやくも100万部突破で映画化権にこぞって名乗り

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 2014年本屋大賞に輝いた『村上海賊の娘』。本屋大賞とは書店員がいちばん売りたい本を選ぶというコンセプトの賞だ。受賞作は次々と映画化・ドラマ化され大ヒットすることでも有名である。
 今年度大賞を受賞した『村上海賊の娘』も4月8日の発表からひと月あまりで100万部を超える大ヒットとなっている。小説の舞台である愛媛県今治市では市を挙げた“村上海賊ブーム”がおこり、また出版元には映画化に向けた熱いオファーが続々と寄せられている。

■『村上海賊の娘』ってどんな本?
 『村上海賊の娘』は戦国時代の「海賊王」村上武吉の姫・景(きょう)を主人公に描き、天下統一に躍り出た織田信長に村上水軍が闘いを挑む、血沸き肉躍る物語だ。
 女性から男性まで、普段歴史時代ものに接していない若者から、歴史時代小説を何年も読み続けている年配の方まで、すべての読者が夢中になってしまう魅力に溢れた作品。
 著者の和田竜氏は今年3月に第35回吉川英治文学新人賞も受賞。本屋大賞は2009年『のぼうの城』で2位。二度目のノミネートで栄えある受賞となった。
 2013年10月の発売以来約半年で100万部の達成となった。

著者の和田竜氏(4月8日「本屋大賞」授賞式より)。

■大賞効果で、地元沸騰
 4月26日、村上水軍の地元・今治市では、村上水軍博物館主催による和田竜氏の講演会が行われ大盛況となった。また同講演会には戦国時代以来約400年ぶりに三家に分かれた村上家の三当主が集結し、過去の確執を水に流した。
 同博物館では企画展「小説『村上海賊の娘』の世界」を開催中ということもあり、入館者数が急増。ゴールデンウィーク期間中(4月26日~5月6日)には2004年の開館以来最多の7534人を記録した。人気にこたえ企画展の会期は3週間延長され、7月6日までとなった。
 また今治市では、市役所に本屋大賞受賞を祝う懸垂幕が掲げられているほか、市内各所には村上家の旗標を染め抜いたのぼりもたてられている。さらに今回の100万部突破の報を受け、愛媛・広島両県知事からお祝いのコメントも寄せられた。NHK大河「軍師官兵衛」でも、同時代の村上水軍が織田信長側から描かれていることもあって、地元は海賊ブームに湧いている。

■映画化権に熱い視線
 著者の和田竜氏はもともと映画監督を目指していた過去があり、小説を書くときも一旦脚本を起こし、その後小説化するという。前作『のぼうの城』も自身が脚本を手がけ、興行収入28億円を記録した。今作も小説に先駆けシナリオを書いており、映画化されれば大ヒットは間違いない。
 そのため出版元の新潮社には、映画会社やテレビ局から、映画化のオファーが続々と寄せられている。

 海賊ブームはまだまだやみそうにない。

デイリー新潮編集部

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