皇太子不在で、秋篠宮殿下が“皇太弟”に?〈生前退位の大疑問〉

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 わずか7年。旧皇室典範が制定された1889年以降、皇太子にあたる人物が不在だった期間である。現在の典範では皇太子を「皇嗣たる皇子」と規定。だが、東宮家には「皇子」がおらず、陛下が退位すれば皇太子不在の事態が訪れるのである。

 皇太子さまの即位に従って、秋篠宮さまの皇位継承順位が1位に繰り上がる。

 宮内庁担当記者によると、

「現行制度では、天皇の弟を『皇太弟』と呼ぶ規定はなく、宮家扱いには変わりありません」

 もっとも、皇太弟には更なる重責が待ち受けているという。というのも、

「皇太子の公務を単に引き継ぐだけではないからです。今上天皇を除いた男性皇族は、悠仁さまを含めても5名のみ。なかでも三笠宮さまは100歳、常陸宮さまは80歳とご高齢。だから、公務が秋篠宮さまに集中することになるのです」(同)

 所功・京都産業大名誉教授は、

「宮家というものは分家です。東宮家と比べ、秋篠宮家の皇族費は約5分の1、職員数も約3分の1と格段に違う。でも立場上は皇太弟として公務にあたり、さらに悠仁さまが次の次に備えて帝王教育を受けなければなりません。それには相応の職員と予算が必要です」

 と訴えるし、皇室ジャーナリストの山下晋司氏もこう指摘する。

「直系継承の場合ばかりを想定した、いまの皇室関連法令は明らかに制度疲労を起こしています」

 耳慣れぬ皇太弟という響きひとつとっても、我々は想定外を生きているのだ。

「特集 『天皇陛下』生前退位に12の大疑問」より

週刊新潮 2016年7月28日号掲載

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