「高校生ゼロ」の広島と「5人中4人」の日本ハム! 来季が正念場の新井・新庄両監督、ドラフト戦略に表れた“残酷な格差”
日本ハムは将来性重視
これとは正反対の戦略を採ったのが日本ハムである。
1位では投打二刀流の可能性を秘めた菰田陽生(山梨学院)を指名。2位でも高校球界屈指のスラッガーと評された牟礼翔(九州国際大付)を獲得した。さらに3位の末吉良丞(沖縄尚学)、5位の岡本翔斗(香里丘)と高校生投手を重ね、支配下5人中4人が高校生。唯一の大学生は4位の加藤宇(明星大)だった。
来季こそ優勝を狙いたい新庄監督にとっては、即戦力をさらに補強したいところだろう。しかし、フロントが選んだのは目先の戦力より将来性を重視する道だった。前出の編成担当者は、その背景に球団の経営環境の変化があると指摘する。
「新庄監督は来年こそ優勝しなければならないと強く考えているはずです。それでもドラフトでは即戦力を一切指名しなかった。完全にフロントが将来を見据えた指名に振り切った印象を受けました。そしてこれは今年に限ったことではありません。その背景には、エスコンフィールドへの移転で財政的に余裕が生まれ、外国人選手やFAでの補強が可能になったことがあると思います。フロントも来季の補強はドラフト以外でしっかり進めるので、ドラフトでは将来性を重視する。そんな方針を現場にも説明しているのではないでしょうか。広島とは対照的ですね」(前出の編成担当者)
実際、日本ハムは昨オフ、ソフトバンクを自由契約となった有原航平の獲得に成功。さらに11月2日には、レイエスとの契約延長を発表している。
レイエスは来日から3年間で通算89本塁打、237打点を記録し、今季は打率.313で首位打者に輝いた。報道によると、新たな契約は推定年俸8億円プラス出来高の複数年契約。球団史上最高額の大型契約となった。
補強力に歴然の格差
さらにエースの伊藤大海については、ポスティングシステムを利用したメジャー移籍を承認し、11月1日に申請手続きを開始した。移籍が実現すれば先発陣には大きな穴が生じるだけに、新たな補強に動く可能性は高いだろう。
かつて広島と日本ハムは、ともに主力選手の流出に悩まされながら、自前の選手を育ててチームを強化してきた。しかし現在は、補強に対する考え方に大きな違いが生まれている。
広島は即戦力の獲得をドラフトに求め、日本ハムは将来性のある選手を確保しながら、既存戦力の引き留めや外部補強に資金を投入する。もちろん、どちらの戦略が正しいかは今後の結果次第。しかし、補強手段の選択肢にこれほど差があるのは、両球団にとってまさに“残酷な格差”と言えるだろう。同じく来季が正念場の新井、新庄両監督でも、置かれた環境は大きく異なる。
特に厳しい立場に置かれているのが新井監督だ。主力選手の退団によって生じた穴を埋めながら、将来を担う若手の育成にも取り組まなければならない。ドラフトで獲得した即戦力候補がどこまで期待に応えられるか。来季の広島再建には、新井監督の采配だけでなく、フロントの補強戦略も大きく影響することになりそうだ。
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