「サトテル退団をみすえる阪神フロントの懸念」 500億円超のスポーツ事業をどうやって維持するか

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暗黒時代を前提に

「それでも阪神の経営が盤石かと言うとそうではありません。チームがAクラスの常連となる安定期に入り、チケットがプラチナ化して極めて入手困難になったのはここ数年の話と聞きます。かつての暗黒時代やBクラスに低迷を続けた時期を痛いほど知る球団経営陣にとって現在の活況が一過性のブームに終わり、一度ファン離れが始まれば500億円規模の経済圏が一気に縮小しかねないという危機感は常にあると思います」(同)

 実際、今でも不安材料がないわけではない。今季、阪神が獲得した外国人選手は総じて期待された活躍を見せられなかった。「獲ってみなければわからない」のが常とはいえ、主力と控えの実力差を埋めきれなかったことも敗退の一因とみられる。クライマックスシリーズの第3戦では佐藤と森下翔太(26)を欠いたスタメンで、レギュラーシーズンで実績のない新人の起用を余儀なくされた。

選手層の厚みを

「森下も将来的なメジャー挑戦を視野に入れているとされ、主力野手の流出リスクは佐藤だけの問題ではないでしょう。三冠王を獲得でもすれば佐藤の例にならって……ということもあり得る。その他、才木浩人や石井大智両投手も同様にメジャー移籍を希望しており、球団はポスティング容認に慎重ですが海外FA権を獲得すれば出ていく可能性もあるでしょう。ここ最近の阪神は結果的にコアメンバーで圧倒する、“シバキ倒す”というスタイルで勝ってきたと言えなくもないわけですが、そういった戦い方を変更せざるを得ない頃合いに来ているのかもしれません」(同)

 粟井一夫球団社長は連覇達成後、ざっと以下のように述べた。

「やっぱり数がいる中から(選手が)出てくる。今のファームでしっかりした設備がある中で、もうちょっと人数を増やすことを含めて、来季検討したい」「(FA選手の獲得を)全く否定していないですね。これはずっとお話ししているように、年間を通して選手の調査はしていますし、可能性がある選手がいれば、全ていったん、検討はします」「(外国人選手は)ピースとして必ず欲しいんですよね、来年は。特にDH制になるということも含めて、外国人バッターの補強は絶対にしたい。監督、コーチたちと今後の意見交換の中で決めていきますけど。僕の現時点での個人的な意見」

純利益の数年分に相当

 佐藤のポスティングがまとまり、仮に数十億円規模の譲渡金を得られるとしても、阪神にはそれだけに頼らずチームを強化できる経営基盤がある。高い観客動員を維持できれば球団の収益も安定しやすいからだ。そこにあぐらをかくわけではないが、新しい常勝チームを作るべく球団側はあれこれと腐心しているように映る。

「いずれ出ていく運命の佐藤をここで放出して譲渡金を得られるならかなり良いトレードだと思いますよ。球団単体の年間純利益と比べても数年分に相当する規模になり得ますからね。今季に限りませんがショートとレフトに穴がある状況を変える、強化しようとする強い思いがあるようです。今季ショートのレギュラーとして期待して獲得したディベイニーが機能しなかったことも響きました。藤川球児監督と契約を延長し、2029年シーズンまでの長期政権としたのも球団が頭を下げた結果だと見ています。今オフは助っ人打者、FA選手、戦力外選手を積極的に獲得し、コアメンバーが仮に故障して離脱してもその穴を複数がそれなりに埋められる状況を作るようにするはずです」(同)

 佐藤の退団を見据え、来季は特定の主力に依存するのではなく、控えを含めた選手層の厚みで得点力を維持しようとする意図がうかがえる。主力に故障や不振が生じても、複数の選手で穴を埋め、安定して得点できる打線をつくれるのか。阪神の新たなチーム作りが問われるシーズンになりそうだ。

デイリー新潮編集部

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