「安倍・菅コンビなら初期の段階で更迭していた」 簗・前農水相の辞任になぜ時間がかかったのか

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【前後編の後編/前編からの続き】

 高市総理と面会した簗(やな)和生農水大臣は10月14日、辞表を提出した。本誌(「週刊新潮」)が報じた恫喝音声は、国会でも取り上げられる重大事案となった。過去には恩人を切り捨て、同じ保守陣営にいる対立候補の徹底放逐を画策するなど、私怨に駆り立てられた行動の数々も明るみになっている。

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 前編では、簗氏の地元での“悪評”について、彼をよく知る人物の証言を紹介した。

 そして迎えた今年2月の総選挙。那珂川町長の益子純恵氏や那須烏山市長の川俣純子氏に加えて大田原市長の相馬憲一氏も対立候補の渡辺真太朗陣営につき、追い込まれた簗氏はついに禁じ手に打って出る。

「2024年の選挙では、簗氏が支部長の『自由民主党栃木県連第三選挙区』から前もって傘下各支部に20万円が振り込まれています。ところが今年2月の選挙ではなぜか事前に活動費が振り込まれず、各支部で立て替えなければなりませんでした」

 こう明かすのは、自民党関係者だ。

「そこで簗氏本人に1月下旬、なぜ活動費が振り込まれないのかを尋ねると“選挙での動き具合で決める”と言われたのです。結局、渡辺陣営についた首長のお膝元にあたる黒羽支部(大田原市)、馬頭支部(那珂川町)、那須烏山支部については活動費が一切支払われなかった。簗氏は事後“選挙で動かなかったから”と説明していました」(同)

 三支部の担当者に確認したところ、確かに活動費は支払われていなかった。

「実際には簗氏のためにポスター貼りなど動いた支部があったわけで、活動費を支払わないのは筋が違う。それに三支部に渡らなかった計60万円は一体どこに消えたのでしょうか」(同)

 選挙の際にはこんな危険な橋まで渡っていた。

「簗氏は直近2回の総選挙の出陣式で『必勝』の字を入れたハチマキを有権者に配布し、回収していません。500円に満たない安価なハチマキとはいえ、選挙区の有権者に配れば、公職選挙法が禁じる寄附行為に当たる可能性があります」(同)

 極め付きとして、自宅と地元建設会社にまつわる次のような話も。

「簗氏の自宅は大田原市にある平屋の一軒家。簗氏が19年に地元の建設会社から2000万円ほどのキャッシュで購入したとみられる新築の建売住宅ですが、簗氏が約1700万円の裏金を作っていたことから『裏金ハウス』と揶揄されています」(地元関係者)

 しかも、この建設会社は国などから県内の公共事業を多々受注しているという。

「域内の建設会社の多くが簗氏の元を離れる中で、その会社の代表は24年選挙の際の解散式に姿を見せていたという話も。簗氏は自分になびかない地域の道路予算を削ったと支援者の前で誇る人。自身と縁が深い企業の便宜を図るため国交省に働きかけを行っていたとしても不思議はありません(当該建設会社は働きかけについては否定)」(同)

“安倍・菅コンビなら初期の段階で更迭していたはずだ”

 今回の騒動を受け、政治ジャーナリストの青山和弘氏は、危機管理における安倍政権との差について言及する。

「第1次安倍政権では、塩崎恭久官房長官や井上義行首相秘書官が十分に機能していませんでした。当時の柳澤伯夫厚労相が“女性は産む機械”と発言して批判を浴びても更迭せず、支持率の低下を招いた。それらの反省を踏まえて第2次安倍政権では、菅義偉官房長官や今井尚哉首相秘書官が閣僚の不祥事や失言に厳しい態度で臨み、長期政権の樹立に貢献しました」

 高市政権には、首相に直接モノを申せる存在がいないとされている。

「高市政権は第2次安倍政権に比べて危機管理が甘い。党幹部からも“安倍・菅コンビなら初期の段階で更迭していたはずだ”との声が上がっています」(同)

 閣僚の任命、危機管理。すべては政権を担う高市首相その人が負う責任である。

 前編では、簗氏の地元での“悪評”について、彼をよく知る人物の証言を紹介している。

週刊新潮 2026年10月22日号掲載

特集「恫喝音声の残響 高市首相『危機管理不全』を炙り出した簗農水省の怨念」より

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