「簗には裏切られた」「“あいつを除名しろ”と迫ることも」 簗・前農水相の地元での悪評

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「簗氏は“あいつを除名しろ”と執拗に……」

 初当選時からの恩人をもちゅうちょなく切り捨てる。人間関係を損得でのみ捉えるような簗氏のそうした振る舞いは、地元に保守分裂のタネをまいた。

「分裂が表面化したのは24年10月の総選挙でした。公示日直前、自民党員としての籍を持つ新人の渡辺真太朗氏が無所属で3区に出馬。簗陣営の元選対本部長や建設業界の支援を受け、裏金問題で逆風下にあった簗氏に178票差まで迫りました」(前出の自民党関係者)

 簗氏の焦りは相当なものだったらしい。地元の政界関係者が打ち明ける。

「24年の選挙後、簗氏は毎日のように自民党那須烏山支部長の沼田邦彦県議に電話をかけたといわれます。当時、渡辺(真太朗)氏は那須烏山支部の所属だったため、簗氏は“あいつを除名しろ”と執拗(しつよう)に迫ったそうです。いわく“除名すれば、次の選挙で当選したところで無所属だから”と」

 沼田県議は対応に苦慮し、県連側に相談したという。

「これには県連側も困惑し“党員資格停止や離党勧告など段階を踏まえるのが筋で、いきなり除名はできない”という反応だったと聞いています」(同)

 それでも簗氏は諦めず、

「沼田氏に対し“県連の言うことなんて聞くな”“真太朗は落選したんだ。国家権力の側にいるのは、当選した私だ”などと執拗に迫り、屈服させようとしたようです」(同)

 もはや、その言動は怨念さえも感じさせる。

「簗氏は第三者を通じて沼田県議に“どうなっても知らないぞ”と最後通牒を申し渡した。結果、沼田氏らはやむなく除名通告書の原案を作成します。これを簗氏が全面的に書き換え、沼田氏が渡辺氏に通告書をいったん郵送したのですが、最終的に書面は渡辺氏の元には届きませんでした」(同)

保守分裂が背景に

 一体、何が起きていたのか。

「沼田氏が除名の全責任を自分に押し付けられると気付き、郵便局に連絡して郵送を止めたそうです。結局、渡辺氏は“迷惑がかかるから”という理由で、自主的に那須烏山支部を抜けました。ただし、自民党籍は残したままです」(前出の地元政界関係者)

 沼田県議は簗氏の強引な手法を嫌忌し、以降、簗氏との間に大きな溝ができたという。

 当の沼田県議に聞くと、

「この件は、お話を差し控えさせていただきます」

 さらに、朝日新聞と下野新聞が10月9日にネットで配信した新たな簗氏の発言の音声も、やはり3区の保守分裂が背景にある。前出の地元政界関係者が言う。

「音声は24年12月22日に簗氏の大田原事務所で開かれた選対解散式でのものです。その中で簗氏は“予算の箇所付けっていうのを国交省にやらせます”と語っている。今回問題になった恫喝行為の2年前から、国交省への働きかけができると支援者にアピールしていたことになりますが、対抗馬の渡辺氏を意識した発言であるのは間違いないでしょう」

 保守分裂は尾を引いた。25年10月、那須烏山市長選と那珂川町長選が実施されたが、

「那珂川町では簗氏が支援する前町議と渡辺氏が推す前町議の益子純恵氏が一騎打ちとなり、益子氏が勝利。また、那須烏山市でも渡辺氏が支援する当時現職の川俣純子氏が3選を果たしています」(同)

 そして迎えた今年2月の総選挙。那珂川町長の益子氏や那須烏山市長の川俣氏に加えて大田原市長の相馬憲一氏も渡辺陣営につき、追い込まれた簗氏はついに禁じ手に打って出る。

 後編では、騒動が発覚してから簗氏が辞任するまでに多大な時間を要した理由と、現政権の危機管理の問題点などについて報じる。

週刊新潮 2026年10月22日号掲載

特集「恫喝音声の残響 高市首相『危機管理不全』を炙り出した簗農水省の怨念」より

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