お寿司屋さんに「手袋をして握ってください」と要求する客も…コロナ禍の“過度な感染対策”が終わらない日本社会 医師は「消毒液を空中に噴霧してはいけないのは感染対策の大原則です」
健康オタクは不健康な人ばかり
――昨日、都内のカフェに行ったら、テーブルを手持ちのアルコール消毒液で何度も拭いている人がいました。こうした過度な潔癖症の人がいるのは、感染症の専門家が連日のようにテレビで恐怖を煽った影響も無視できないのではないでしょうか。
岩井:強い影響があったのは間違いありません。当時は不安を煽るような発言が多くなされ、その後のフォローもないままです。当院では、コロナの5類移行前から「早くコロナ前の状態に戻そう」と発信してきました。他院に比べればだいぶ戻ったと思いますが、それでも職員の半数が常時マスクを着けています。場面に応じた合理的な判断ではなく、無意味な風習として残ってしまっている印象です。
私は、病院の面会制限の撤廃にも取り組んでいます。コロナが5類化された今でも、「1回に2人、30分まで。子供は不可」といった厳しい制限を続けている病院があります。これはコロナ時代の感染対策を引きずっている最たるもの。最愛の家族に面会できないと回復が遅れるし、精神的な影響も少なくない。入院したら最後、家族に一度も会えないまま亡くなってしまった人もたくさんいます。
このように、面会制限は患者さんやご家族にとっても大きな問題です。感染対策を優先するあまり、高齢者が孫と生きている間に会えないなんて、あまりに気の毒だと思いませんか。
――おっしゃるとおりですね。先生が患者さん一人一人を大切にしている想いが伝わってきます。そんな先生が考える、もっとも適切な感染症対策はどのようなものでしょうか。
岩井:少し視野を広げてお話しすると、日頃から過度に健康を気にしすぎる“健康オタク”的な生活は、かえって不健康だと思います。1日に何度も体温や血圧を測り、食べるもののカロリーや栄養素の計算に追われている人は、どこか窮屈そうに見えませんか。一方で、子供は健康のことなど考えずに元気に動き回っていますよね。
大人も、過剰に構えすぎない方が健全です。コロナ流行の真っ只中には、感染を防ぐために消毒やマスクが強く推奨され、「人と会うな」「外出するな」と言われ、ソーシャルディスタンス、ステイホームなどと叫ばれました。人に会わずに家に引きこもり、日光を浴びないことのほうが明らかに心身の健康を害しますよね。
繰り返すようですが、感染対策はコロナ前にみなさんが行っていた衛生習慣で十分です。そして、感染症を恐れすぎるがあまり、かえって健康を害することがないようにしていただきたいですね。
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