巨人の「力の無さ」を最終盤で見せられた…打者の「迫力不足」をつくづく感じる DeNAとの最終戦は「単なる1敗」ではない【柴田勲のコラム】

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DeNAとの最終戦は「単なる1敗」ではない

 そして3日、DeNAとの今季最終戦(東京D)は後味が悪い敗戦となった。しかも10日からのクライマックス・シリーズ(CS)第一ステージに向けて尾を引く結果になった。

 好投していた井上温大をなぜ6回、球数83で代えたのか。わからない。井上は1回、度会隆輝に内野安打を許しただけでDeNA打線をキッチリと抑えていた。しかもリードしていた。巨人にはいい流れで、DeNAには嫌な流れだ。

 監督の仕事はいい流れを離さず、悪くなってきたなと判断したら手を打つことだ。ところがいい流れを自ら断ち切ってDeNAに渡した。リリーフ陣が直後の7回に崩壊して逆転負けだ。

 巨人はDeNAにはCSで1昨年、昨年とやられている(2024年はファイナルにおいて3勝4敗で敗れ、下剋上日本一に協力した。2025年はハマスタのファーストで0勝2敗と叩きつぶされた。24年は16勝8敗1分、25年は15勝9敗1分と、どちらもレギュラーシーズンは大きく勝ち越していたが、今季は巨人の13勝12敗でほぼ互角)。

 これでDeNAは「今年もいける」と自信を深めたろうし、CSアドバンテージ回避に手を貸した。勢いづいたDeNAは4日、阪神にサヨナラ勝ちしてCS最終Sのアドバンテージ2勝目を回避した。単なる1敗ではなくなった。

第一ストライクのフルスイングをまず見ない

 ここ20試合を振り返ってつくづく感じたのは、巨人打線に迫力というか、凄みがないということだ。

 第一ストライクをフルスイングする巨人の打者をまず見たことがない。これでは相手投手は怖がらない。嫌がらない。漫然と見逃して追い込まれる。難しい球に手を出して凡退する。追い込まれてチョコンというヒットはある。

 空振りでもファウルでもいい。もっと振り抜くべきだ。ましてやいまは3球勝負ではなく2球勝負になっている。

 3日の試合でも「オッ、これは」と思ったのは丸佳浩の一発だった。振り抜いていた。だからスタンド上段まで飛ぶ。

 巨人は今季132通りの打線を組んだ。岡本和真の抜けた穴は大きかったが、それは最初から分かっていたことだ。橋上秀樹監督代行は何を基準に打線を組んでいるのかと首を傾げることもあった。もっとどっしり構えてほしかった。

 最終盤で巨人の「力の無さ」を見せられたような気がする。

思い切った采配を期待

 最後になるが、橋上監督代行は阿部慎之助前監督の後を受けてよくやったし、頑張ったと思う。コーチたちはかつての仲間だ。おそらく各担当コーチの意見を重視し、または合議していたのだろう。

 遠慮があったし、なかなか自分の色を出しにくかったのかもしれない。うまくまとめるタイプで引っ張っていくタイプではないとみた。

 でも代行の肩書きでも監督は監督だ。CSでは悔いを残さないよう思い切った采配を振るってほしい。

 難敵・DeNAの打倒を期待している。

(記録は5日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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