「ゾンビたばこ問題」で自由契約となった“広島4選手”を他球団は獲得するのか…NPB全体で統一見解を示すべきでは
広島カープが10月1日、「ゾンビたばこ」に関連して疑惑が報じられた4選手と「来季の契約を結ばない」と発表した。
昨季の首位打者で今季も3番打者としてチームの主軸だった小園海斗内野手(26)。2024年に遊撃手でゴールデングラブ賞を受賞、守備力に定評のある矢野雅哉内野手(27)。愛知・名電高時代に高校通算32本塁打を放ち、未来の大砲と期待されていた田村俊介外野手(23)。育成ドラフト入団ながら昨年支配下登録され、1軍戦代打で打率.333の活躍を見せた前川誠太内野手(23)。いずれも、戦力として高い期待を集めている4選手だ。【小林信也(作家・スポーツライター)】
【写真】公式戦主催試合が全て終了し、セレモニーでファンに挨拶する広島の選手たち
クロではなくグレー
矢野、前川両選手は、9月25日に医薬品医療機器法違反の疑いで広島地検に書類送検された。両選手とも容疑は否認している。小園、田村両選手は、エトミデートを譲り渡したなどとして有罪判決を受けた人物と一緒に写る写真が週刊誌に掲載された。矢野選手も、その人物と一緒の写真が報じられている。読売新聞はこう伝えている。
<内部調査を続けてきた広島の鈴木清明・球団本部長は、エトミデート使用の事実は確認できていないとした上で、「(4人は)大丈夫だと言えない。来年も(騒動が)続く可能性があるなら、どこかできちんとした方がいい。信頼関係を築くのは難しいと判断した」と疑念がぬぐえなかった点を強調。「統一契約書にも『国民の模範たるべく』という文言がある。行動を正していかないといけない」と話した>
使用の事実は確認できていない、しかし契約はしない。球団の対応は、厳しすぎると感じるファンもいるだろうが、それだけ今季、チーム内がこの問題で揺れ動き、シーズンを戦う一体感に支障をきたしていた事実を想像させる。曖昧なまま、来季も火種を抱えて戦うことは絶対にできないという切実な覚悟が見て取れる。
さて、4選手は他球団と契約し、野球を続けるチャンスは得られるのだろうか。それぞれの実績・将来性を考えれば、獲得したい球団が現れても不思議ではない。
「クロでなくグレー、広島球団はシロかもしれないと言っているのに、それで一生野球ができないなんて酷だ」「八百長とか賭博ならともかく、ゾンビたばこは一発アウトに相当する不祥事なのか?」といった議論も起こる可能性がある。その疑問に一体、誰が明快な回答を示すのか?
NPB全体で協議すべき問題
広島カープは「自由契約」にしたから、4選手はどの球団とも契約できる。つまり自由競争。だから、「問題ない」「むしろ救済だ」と判断した球団は積極的に手を挙げる可能性がある。しかし、その特定球団に「問題ない」と決めさせて野球界はいいのだろうか。これは野球界全体の信用と倫理観に関わる問題だ。本来なら、NPBのコミッショナーもしくはNPB全体で調査・議論した上で共通の方針を決めるべき問題だと考える。しかし、残念ながら、NPBの運営はそのような仕組みになっていない。各球団の自主的判断がずっと優先されている。
5年前、中田翔選手が日本ハムで後輩に暴力を振るって無期限の出場停止処分(解除日未定の出場停止処分)を受けた時、巨人がトレードで中田を獲得したその当日に処分が解除される出来事があった。処分はあくまで日本ハム球団が科したもので、NPBの処分ではないから勝手に巨人が解除できる(日本ハムの処分には影響されない)という解釈だったが、首を傾げたファンは少なくなかっただろう。
そのようなごり押しが、プロ野球界では許されてきた。厳しい言い方になるが、今回もまた倫理観が低く、面の皮の厚い球団が戦力としては相当な期待のできる選手を引っ張っていくとすれば、野球界への失望は広がる恐れがある。それは球界全体で回避すべき時期に来ている。
コロナ禍の対応でも同様の茶番があった。Jリーグは陽性反応が出た場合の出場可否の基準をリーグ全体で共有した。プロ野球界は各球団が独自のガイドラインを運用したから、試合に出られない期間にばらつきがあった。同じリーグ戦を戦いながら公平性の面からもおかしなことだ。しかしプロ野球界はずっとリーグ全体の管理より各球団の判断を優先し運営されてきた。
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