「この年のドラフトは失敗だったと認める形」中日で2023年組が大量戦力外…他球団編成が首をかしげる理由
チームの方向性も変化
2023年のドラフトで、中日は支配下6人、育成4人の計10人を指名した。
支配下は1位・草加勝、2位・津田啓史、3位・辻本倫太郎、4位・福田幸之介、5位・土生翔太、6位・加藤竜馬。育成では日渡騰輝、菊田翔友、尾田剛樹、川上理偉を獲得している。
このうち加藤と菊田はすでに退団し、日渡は今年7月に日本ハムへトレードされた。そして今回、津田、辻本、土生、尾田、川上の5人が来季の契約を結ばないと通告された。つまり2023年ドラフトで獲得した10人のうち、8人がわずか3年間で移籍または戦力外通告を経験したことになる。
ただし、戦力外通告を受けた選手がそのまま退団するとは限らない。津田と土生は昨オフにも一度戦力外通告を受けた後、育成選手として再契約している。今回についても今後の契約形態がどうなるかは見極める必要がある。
それを差し引いても、同じドラフト年度の選手にこれだけ動きが集中するケースは目を引く。特に津田は2位、辻本は3位で指名された選手である。
ドラフトでは、指名した選手が期待通りに成長するとは限らない。故障やポジション争い、補強によるチーム事情の変化もある。下位指名や育成選手が数年で退団するケース自体は珍しくない。
しかし上位指名選手は、数年先の一軍戦力を見据えて獲得するのが基本である。2位、3位の選手まで3年で契約を見直すとなれば、個々の成績だけでなく、指名当時と現在で選手を見る基準やチーム作りの方向が変化したのではないかとの疑問が生まれる。
負の遺産
他球団の編成担当者は、人数以上にその点へ目を向ける。
「同じ年のドラフトで入団した選手が、ここまでそろって短期間で戦力外になったり移籍したりするのは不思議ですね。期待通りの活躍を見せていないと言えばそれまでですが、二軍でのプレーを見れば、全員が見切りをつけられる内容だったとは思いません。編成側から見れば、この年のドラフトを失敗だったと早々に認める形になります。体制が変わり、過去の“負の遺産”を整理したい思いがあるのかもしれませんね」
ここで無視できないのが、2023年から現在までに起きた球団内の人事である。
2023年のドラフトでは、当時の立浪和義監督が指名方針について積極的に発言していた。特に2位の津田、3位の辻本と二遊間候補を続けて指名した理由について、立浪監督自身がその狙いを説明している。
その立浪監督は2024年シーズン限りで退任。当時編成トップだった加藤宏幸氏は2025年3月に球団本部長から球団社長へ就任し、朝田憲祐氏が新たに球団本部長となった。
2023年のドラフトから3年の間に、監督と編成責任者がともに代わった。そのタイミングで、当時獲得した選手への評価が大きく動いている。
もちろん、「前体制で獲得した選手だから整理した」と断定する材料はない。戦力外は個々の成績や将来性、チーム内の競争などを踏まえて決められる。それでも同じドラフト年度の選手に判断が集中した事実から、現在の編成が3年前とは異なる基準でチームを作ろうとしていることは読み取れる。
ドラフトで高校生を指名すれば、戦力になるまで数年を要することがある。大学生や社会人でも、即戦力として入団してすぐ結果を残す選手ばかりではない。指名から育成、一軍での起用までを一本の線で考えなければ、獲得した選手を十分に生かすのは難しい。
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