話題の「夜行新幹線」の乗客は鉄道ファンばかり…ではなかった納得の理由 JR東海が見出した“いまの時代だからこそのニーズ”とは
タイパも、コスパも優れている
実はここ最近、様々な鉄道会社が夜行列車の運行に関心を示している。背景にはホテル代の高騰がある。筆者は、今回の取材をするまで「東海道ルミエールエクスプレス」の利用者は鉄道ファンが中心なのでは……と予想していたが、島田氏によると親子連れなどの姿も多かったといい、「これを機に京都の旅行を考えた」という方もいたそうである。
夜行列車なら移動と宿泊を兼ねることができるため、タイパも、コスパも優れている。現代人に合った移動手段なのだ。さらに夜行バスよりも揺れが圧倒的に少なく、快適性が高いのも魅力である。首都圏と中京圏、関西圏という三大都市圏を結ぶ東海道新幹線で夜行列車を運行してほしいというニーズが高まるのは、必然であったといえよう。
JR東海では、シルバーウィークの9月22日に上りの「東海道ルミエールエクスプレス」を運行。前回にはなかったスリッパやアイマスク、靴の乾燥材を配布し、さらなる快適性を高めている。個人的にはぜひとも、定期列車として運行してほしいと思っているのだが……。
「夜間は沿線各地で保守作業を行っており、昼間と同じように新幹線を走らせることはハードルが高いです。そのため、現状では定期運行の実現は難しいと考えています。とはいえ、今回のアンケートの結果をもとに、お客様の需要があり、今後も社内の調整ができれば“臨時列車”として検討したいと考えています」(島田氏)
車内での過ごし方が変わった
東海道新幹線でもう一つ大きな話題になっているのは、10月1日から運行が始まる、グリーン車を上回る最上位座席「Supreme Class」である。まずは上下12本から運行をはじめ、2026年度末には上下合わせて約30本、2028年度末には全編成の3分の1程度に導入を検討しているという。
一度は消滅した個室が復活することになった背景には、やはり新幹線のニーズに多様性が生まれたことがある。発足以来、JR東海は東海道新幹線の運行本数を拡大し、輸送力の増強に努めてきた。現在の東海道新幹線は「のぞみ」が1時間で最大13本走るという、高速鉄道としては世界でも類例がない運行本数を実現している。
東海道新幹線はもともとビジネス目的での利用が多く、目的地に早く到着できるスピードはもちろん、待たずに乗れることなどをウリに、需要を拡大してきた。ところが、コロナ禍でビジネスのスタイルも変化し、リモート形式での働き方も定着した。
生活様式や働き方の変化により、プライバシーを守られた座席が欲しい、車内で周囲に気兼ねなく仕事ができる環境が欲しい、上質感やプライベート感が欲しいなど、様々なニーズが生まれることになった。
「Supreme Class」は、高いプライベート感と上質性を兼ね備えた座席となっており、プライバシーを確保し車内でくつろぎたい、周囲を気にせずに移動時間を楽しみたい、移動中に気兼ねなくWEB会議をしたいなど、多様な要望をもった利用者が、旅行やビジネスなど、様々なシーンで利用できる座席になっているという。
JR東海がコロナ禍の真っ只中で立ち上げた、アニメやアイドルなどのファンをターゲットにした「推し旅」も好評を博している。今後はハード面とソフト面の両面を充実させ、多様なニーズを取り込んで収益の拡大を図ろうとしている。









