話題の「夜行新幹線」の乗客は鉄道ファンばかり…ではなかった納得の理由 JR東海が見出した“いまの時代だからこそのニーズ”とは
JR東海が期間限定で運行した「夜行新幹線」こと「東海道ルミエールエクスプレス」が大きな話題を呼んでいる。8月8日~9日に運行した第1弾は、発売開始からわずか2日間でチケットが完売。鉄道ファンだけの利用と思いきや、一般層も多く利用したことから、「夜に移動して翌朝早くに到着できる」夜行列車の需要の高まりが浮き彫りになった。
一度は衰退したように思われた夜行列車であるが、昨今はホテル代の高騰などからニーズが生まれつつあるのだという。そんな夜行新幹線は、今後も運行される予定はあるのだろうか。
また、東海道新幹線に今年の秋から、最上位座席として「Supreme Class Cabin」と命名された「個室」が復活する。東海道新幹線に個室が復活するのは、2003年に引退した100系以来、23年ぶりということもあって、こちらも話題になっている。
これまでの新幹線といえば、目的地に到着するまでの速さ、すなわちスピードに注目が集まってきたが、ここにきて、移動の目的から車内での過ごし方まで、ニーズが多様化しているようだ。JR東海の担当者に東海道新幹線のニーズの変化と、今後の動向について聞いた。【取材・文=山内貴範】
【写真】23年ぶりに東海道新幹線に復活した個室座席「Supreme Class Cabin」の内部
アイデア自体は国鉄時代からあった
夜行新幹線のアイデア自体は、1964年の東海道新幹線の開業当初、すなわち国鉄時代からあったとされる。しかし、夜間には保線工事が行われ、それに合わせたダイヤの調整も必要であるため、実現しなかった。1987年にJR東海が発足してからも運行されたことはなかったが、約62年の歳月を経て、満を持して実現したといえる。
「“当日出発・翌日到着”の特別列車を運行するうえで、最大のネックになるのは安全運行に欠かせない保守作業です。東海道新幹線の場合は線路に敷かれているバラストを交換するなど、様々な保守作業を夜間に実施しているため、走らせるのが難しいのです。運行のために乗り越えるべきハードルは高かったのですが、実際に運行したところ、お客様からご好評をいただくことができました」
そう話すのは、JR東海新幹線鉄道事業本部運輸営業部の島田直明氏。
史上初の夜行新幹線「ルミエールエクスプレス」は、8月8日に東京駅発、新大阪行きの下り列車として運行された。途中、岐阜羽島駅に約6時間停車することで保守作業との調整を図った。停車中は夜間と早朝にそれぞれ約30分、車外に出る時間を設け、気分をリフレッシュしたり、自動販売機や喫煙所を利用したりできるなど乗客の利便性を高めた。車内照明の消灯こそなかったものの、「よく眠れた」と快適性を評価する声が多く寄せられたという。
「私も車内にいましたが、終始静かな環境だったのが印象的でした。何より列車が長時間停車しているので、多くのお客様がゆっくりお休みになれたのではないでしょうか。また、夜行新幹線の不安要素として防犯面があるかと思いますが、不安を払拭していただくために乗務員や警備員による定期的な巡回も行いました」
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