「まさか160キロを投げるとは」スカウトも驚いた…今季ブレイクした4選手の“成長の秘密”

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 12連勝、163キロ、本塁打量産、30盗塁超……。開幕前にここまでの活躍を予想できた人は、ほとんどいなかったのではないか。【西尾典文/野球ライター】

ストレートが良くなった

 毎年、多くの新星が飛び出してくるプロ野球。ただ、成長の仕方は選手によって大きく異なる。少しずつ階段を上るタイプがいる一方、前年までとは別人のような姿を見せ、一気に主力へ駆け上がる例もある。今季、特に目立った選手たちは、なぜ大きく飛躍できたのか。周囲の証言から、その理由を探ってみたい。

 前田悠伍(ソフトバンク)は、その代表格だ。

 大阪桐蔭時代には2年春に主戦として甲子園で優勝。3年時にはU18W杯でエースとして活躍し、2023年のドラフト1位で入団した。

 二軍では早くから結果を残していたが、一軍定着にはなかなか届かなかった。今年は5月に今季初勝利を挙げると、そこから負けなしの12連勝。高卒3年目にして先発ローテーションの中心へと駆け上がった。

 ソフトバンクの球団関係者は、前田の成長をこう説明する。

「野球に取り組む姿勢については若手の中でも飛び抜けています。二軍である程度結果を残すと安心してしまう選手も多いですが、前田は常に上を目指してレベルアップを図ってきました。具体的にはやはりストレートが良くなったことが大きいですね。スピードガンの数字もそうですが、質の部分もかなり向上しています。あと、ボールの質を上げるだけでなく、投球全体についてもよく考えている。打者を抑えるパターンが増えました。まだ21歳ということを考えると末恐ろしいですね」

 9月19日の楽天戦で連勝は止まったが、18試合に登板して12勝1敗、防御率1.99。高卒3年目でこの数字は見事で、新人王争いでも有力候補の一人となりそうだ。

まさか160キロを投げるような投手になるとは

 阪神・工藤泰成の飛躍も目覚ましい。育成ドラフト1位で入団した右腕が、2年目で抑えを任され、自己最速163キロまで球速を伸ばした。

 明桜から東京国際大、徳島インディゴソックスを経て2024年に入団。ルーキーイヤーの昨年は開幕前の3月に支配下へ昇格したが、一軍では18試合に登板して0勝2敗1ホールド、防御率3.31に終わった。

 ところが今年は様相が一変する。

 開幕一軍入りこそ逃したが、4月5日に昇格すると9試合連続無失点。8月以降は抑えを任される機会が増え、52試合で3勝0敗11セーブ12ホールド、防御率0.97という圧巻の成績を残している。

 大学時代から工藤を見ていた他球団の担当スカウトは驚きを隠さない。

「大学の時から150キロを超えるスピードはありましたが、とにかく投げてみないと分からないというタイプの投手でした。ただ当時と比べると体つきが別人のようですね。独立リーグでもプロ入り後も相当鍛えてきたことは間違いないでしょう。まさか160キロを投げるような投手になるとは思いませんでした。フィジカルをしっかり鍛えるということが大事だと改めて思わされましたね。あとスピードだけでなく、変化球の精度もかなり良くなっています。育成で獲得した阪神は良い指名をしましたね」

 163キロという数字に目を奪われるが、実際に三振を奪う際にはカットボールとフォークが大きな武器となっている。速いだけの投手ではなくなった点が、今季の安定感を支えている。

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