「まさか160キロを投げるとは」スカウトも驚いた…今季ブレイクした4選手の“成長の秘密”
ホームラン王も狙える
打者に目を移すと、ソフトバンク・正木智也の変貌ぶりが際立つ。
慶応高校時代から評判の強打者で、慶応大ではリーグ戦通算10本塁打を記録。2021年のドラフト2位で入団した。
素材は高く評価されながら、昨年まではけがや選手層の厚さに阻まれ、一軍でまとまった出場機会をつかめなかった。4年間で一軍通算12本塁打。それが今年は5月中旬の昇格後、本塁打を次々と放っている。
前出のソフトバンクの球団関係者は、飛躍の背景をこう話す。
「元々遠くへ飛ばす力は非凡なものがありましたが、怪我が多かったこともあってなかなか状態が安定しませんでした。それが昨年左肩を脱臼している間にしっかりトレーニングに取り組み、その成果が出ているように思います。あと三振や凡打を引きずらず、自分の持ち味はホームラン、長打と割り切って考えられるようになったことが大きいですね。ミスショットが明らかに減りました。来年もこの調子が続けば、十分ホームラン王も狙えると思います」
象徴的だったのが6月24日のオリックス戦だ。放った本塁打は打球速度188キロを計測。「NPB+」によると、当時の12球団トップとなる数字で、大きな話題を呼んだ。9月20日には体調不良で登録を抹消されたが、ポストシーズンでも、その長打力にかかる期待は大きい。
自分の武器をわかっている
さらに、巨人・浦田俊輔も2年目で一気に出場機会を広げた。
九州産業大から2024年のドラフト2位で入団。昨年は二軍で主力としてプレーした一方、一軍では22試合の出場にとどまった。
巨人の二遊間には吉川尚輝、泉口友汰、門脇誠らがいる。簡単に出番をつかめる陣容ではなかった。
今年は吉川がけがで出遅れたチャンスを逃さず、開幕からセカンドのレギュラーに定着。吉川の復帰後も出場機会を確保し、100安打を超え、盗塁数は30の大台を突破した。
アマチュア時代に浦田を担当していた他球団のスカウトはこう話す。
「もちろん多くの球団がマークしていたと思いますが、正直巨人が指名するとは思いませんでした。二遊間には吉川尚輝、泉口友汰、門脇誠がいて、前の年のドラフト1位でも石塚裕惺を指名していましたから。ただライバルとなる選手と比べて圧倒的にスピードは上で、それを上手くアピールできたことが大きいと思います。あとただ足が速いだけでなく、盗塁のスタートやスライディングについても技術が上がったように見えますね。自分の武器をよく分かっていて、それを伸ばした良い例ではないでしょうか」
9月14日のDeNA戦の守備で右肘を痛め、右肘靱帯損傷と診断された。現在は故障班で調整しており、本人はポストシーズンでの復帰を目指している。短期決戦は一つの盗塁で試合が動くこともあるだけに、持ち前のスピードは大きな武器となるだろう。
前田、工藤、正木、浦田。4人のブレイクは、数字だけを見れば突然起きたように映る。
だが、周囲の証言をたどれば、決して一朝一夕に生まれたものではない。プロ入り時の評価だけで、選手の完成形が決まるわけでもない。
自分に何が足りないのか。逆に、何を伸ばせば一軍で武器になるのか。プロの世界で生き残るには、そこを見極め、磨き続ける必要がある。今季の4人の飛躍は、プロ入り後にどこまで成長できるかの重要性を改めて示している。











