「戦力外通告」を受けた選手が集まるトライアウトに「野球チーム」だけでなく「一般企業」が熱視線を送る理由
多様な道が…
さらにこのトライアウト、当初は想定されていなかった思わぬ効果も生まれています。NPB12球団だけでなく、独立リーグや社会人チームなど国内の野球関係者に加え、MLBや台湾プロ野球関係者といった海外の野球関係者も参加選手のチェックに訪れるようになりました。
NPBでのプレーはかなわなくても、他のステージで野球を続けられる可能性が増えたことで、「野球で食っていく」という気持ちが強い選手にとってはチャンスが広がりました。
また近年では、日本競輪学校や相撲部屋など、プロ野球選手の身体能力の高さに着目し、他競技関係者も足を運んで選手たちに熱い視線を向けています。実際に競輪選手に転身した選手もいます。
スポーツ関係者だけでなく、一般企業がスカウト目的で参加するケースもあります。2018年11月13日付朝日新聞の記事によると、「体力がある」、「体力、気力、メンタルが強い。チームワークの能力も魅力」、「継続する力やガッツがある」などの理由から、社員として迎えるために足を運んでいた、とあります。
結婚前の若い選手なら「野球を続けたい」という気持ちが強く、一般企業からのスカウトに応じるかどうか微妙だと思いますが、すでに家庭を持ち、家族を養っていかなければならない選手にとっては、安定した収入を得るという意味でも真剣に検討する選択肢の一つになると思います。
野球しか知らない
自分では「まだやれる」という思いが強いからこそ現役継続を目指してトライアウトに挑戦する選手にとって、戦力外通告されただけでも心が折れそうな思いをしているのに、トライアウトでも他球団から声が掛からなければ完全に打ちのめされる状況です。
まして野球を始めたその日から、まさに「野球漬け」の毎日を過ごしてきたからこその「プロ野球選手」という肩書きです。社会人からプロ野球選手になった人は別として、高校や大学からプロに入った選手は、言い方を変えると「野球しか知らない」のです。
今の第1次戦力外通告期間は10月9日、クライマックスシリーズに進出する球団についてはクライマックスシリーズ敗退の翌日までとなります。第2次は全球団共通で、クライマックスシリーズ全日程終了翌日から10月22日のドラフト会議を挟んで10月30日までです。
かつては11月中旬に実施されていたドラフト会議が、日本シリーズ前に変更されてから、ドラフトの結果を受けて戦力外を決める傾向も強くなっています。
戦力外通告を受けた選手は、ほとんどが「なんとなく今年はそうなる予感がしていた」と言います。チーム内での立ち位置、自身の使われ方、様々な要素から冷静に分析しているのです。
それでも口では「覚悟していた」と言いながらも、現実に通告を受けたショックは相当なものです。毎年、ドラフト会議で多くのプロ野球選手が誕生する以上、支配下人数が決まっているプロ野球の世界で、辞めていく選手が出ることは避けようがありません。
今年も戦力外になる選手が必ず出てきますが、野球で培った経験を生かして第2の人生に踏み出してほしいと心から思います。
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