出塁するだけじゃない 「1番」で35発、36発…球史を彩った“恐怖のトップバッター”
打てる1番打者の存在感
NPB史上、1番打者としてシーズン最多の本塁打を記録したのが、2002年の西武・松井稼頭央だ。
1997年から3年連続盗塁王に輝くなど、従来型の1番打者としてチームを引っ張っていた松井は、2000年から3番に定着。2年連続で20本塁打以上を記録し、長打力にも磨きがかかった。
そして02年、1番に復帰すると、自らの一発で試合を決める場面も増えていく。
5月10日のオリックス戦では、1対1の9回に萩原淳の外角高め直球をとらえ、左越えに「野球人生初」のサヨナラ本塁打。「いくと思わなかった。何て言っていいか、うれしいって言葉しか……」と感激に震えた。
ドラマは翌11日のオリックス戦でも起きる。
2対2の延長10回無死一塁、松井はフルカウントから今村文昭の外角低めスライダーをバックスクリーン左へ運ぶ2日連続の6号サヨナラ弾。球団史上初の快挙に「自分が一番ビックリしているわ」とコメントした。
勢いは止まらない。6月12日のオリックス戦から同20日のダイエー戦まで5試合連続、計6本塁打を固め打ち。本塁打のペースはさらに加速した。
0対9から奇跡的な大逆転勝ちを収めた8月16日の近鉄戦でも、10対10の7回に三沢興一から右越えに決勝24号2ラン。翌日の優勝マジック点灯につなげた。
同年は1番打者として歴代最多の36本塁打を放ち、4年ぶりのリーグVに貢献。打率.332、33盗塁で史上8人目、スイッチヒッターでは史上初となるトリプルスリーも達成した。
真弓、高橋、松井に共通するのは、従来の1番打者像に収まらず、初回から一振りで試合を動かせる怖さを備えていたことだ。俊足や出塁だけではなく、長打力そのものが1番打者の大きな武器になることを、3人は結果で証明した。
そして今、大谷や正木の活躍によって、再び「打てる1番」が脚光を浴びている。打順に求められる役割が変化するなか、これからどんな“恐怖の1番打者”が現れるのか。それもプロ野球を見る楽しみの一つになりそうだ。










