専門学校で投手転向、カナダの名門大に留学、韓国球界で覚醒…スカウトが追う“異色ルート”のドラフト候補
体格が凄い
近年は、海外の学校に所属する日本人選手が育成ドラフトで指名されるケースも出てきた。
2022年には楽天が国立台湾体育運動大の永田颯太郎を育成4位で指名。2023年にはヤクルトが台湾・鶯歌高級工商職業学校の高橋翔聖を育成1位で指名している。
今年、その流れで注目されているのが杉本寛斎(ブリティッシュ・コロンビア大)である。
京都府出身で、中学時代は滋賀南郷ボーイズでプレー。高校から単身カナダへ留学した。昨年は日本ハムの二軍で練習に参加するなど密かに話題となり、今年はNPBのドラフト指名を目指している。球団側の調査も本格化しているという。
8月にはカナダを代表する名門大学であるブリティッシュ・コロンビア大の野球部が来日し、日本の大学とオープン戦を実施。複数球団のNPBスカウトが集まり、杉本の投球をチェックしていたそうだ。
実際にオープン戦を視察したスカウトは以下のように話す。
「体格が凄いですね。ストレートも150キロ台中盤がコンスタントに出ていました。コントロールに関してはかなりアバウトで、まだ速いボールを投げているだけという印象ですが、育成でも入団するとなれば面白いかもしれませんね」(セ・リーグ球団スカウト)
大学の公式プロフィールでは、身長6フィート2インチ(約188cm)、体重235ポンド(約107kg)。野手として出場する機会が多く、投手としての実戦経験は決して豊富ではない。それだけに、恵まれた体格から150キロ台中盤を投げ込む素材は魅力十分だ。投手としてどこまで伸びるのか、未知数なところも興味深い。
名前が呼ばれる瞬間に注目
さらに異色の経歴を持つのが杉本幸基(KTウィズ)である。
大垣日大では修行恵大(現・西濃運輸)と二枚看板で活躍し、2年夏、3年夏と甲子園に出場。日本大でも順調に成長し、3年春には150キロを超えるストレートを投げていた。その後は故障で停滞し、卒業後は四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスへ進んだ。
徳島では年々成績を伸ばしたもののNPBからの指名はなく、今年から韓国プロ野球・KBOリーグのKTウィズでプレーしている。今季新設された「アジアクォーター」枠での入団だった。
9月24日現在で69試合に登板し、24ホールドはリーグトップ。韓国に渡ってセットアッパーの座をつかんでいる。
150キロを超えるストレートに加えて制球力があり、イニングをまたいで投げられる点も武器となる。今年で26歳だが、KBOリーグでこれだけ登板を重ねた経験を考えれば、中継ぎの即戦力として検討する球団が出てきても不思議ではない。
KBOリーグでプレーする日本人選手がドラフトを経てNPB入りとなれば、極めて珍しいケースとなる。“韓国経由”でのNPB入りが実現するか、注目したい。
昨年のドラフトでは、社会人クラブチームの矢場とんブースターズで3年間プレーした九谷瑠(王子)が、楽天から6位指名を受けて話題となった。大学卒業後すぐに企業チームへ進まず、クラブチームを経て王子へ移籍。26歳でプロ入りをつかんでいる。
九谷は1年目から中継ぎとして一軍で結果を残し、楽天投手陣の大きな戦力となった。
ドラフト候補の価値は、高校や大学時代の実績だけで決まるわけではない。一般的な進路から外れていても、新たな環境で力を伸ばし、後になってNPBのスカウトを振り向かせる選手はいる。
今井は高校時代、プロとは縁遠い控え内野手だった。杉本寛斎はカナダへ渡り、杉本幸基は独立リーグから韓国プロ野球へ活躍の場を移した。歩んできた道はまったく違う。それでも今、3人はドラフト候補としてNPB球団からチェックを受けている。
今年のドラフトで、“王道”とは違う道を歩んできた彼らに球団はどんな判断を下すのか。上位候補の指名争いとはまた違った意味で、名前が呼ばれる瞬間にも注目したい。
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