0対5でも「今日は負けかな」というムードはなかった 絶体絶命から14連勝を決めた日本ハムの“異様な自信”

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狙ってもいいかなと

 通常なら完敗ペース。日本ハムの連勝も「13」でストップするかに思われたが、その裏、サプライズが起きる。

 1死から大野奨太が四球で出ると、3回無死一塁で送りバントを失敗して三振に倒れた岡大海が「何とかしたかった」と左中間席に反撃の狼煙となるシーズン1号2ランを叩き込んだ。

 西川遥輝、中島卓也の1、2番も連打で続き、スタンリッジをKO。代わった大谷智久からも陽岱鋼、中田翔の連続タイムリーで、あっという間に1点差に詰め寄った。

「(0対5でも)『今日は負けかな』というムードにならなかった。『いや、5点くらいならワンチャンスでいけるよね』と全員が信じていた」

 中田がそう語ったように、連勝中のチームの勢いを感じさせる鮮やかな逆襲だった。

 だが、8回は無得点に終わり、9回の攻撃もロッテの守護神・西野勇士の前に2死無走者。反撃もここまでと思われた。

 ところが、あと1人でゲームセットという土壇場から“奇跡”が起きた。

「あんまり狙わないんですけど、(この場面は)狙ってもいいかなと思って、思いきり意識した」

 田中賢介がフルカウントから弾丸ライナーで右翼席最前列に飛び込む起死回生の同点ソロ。三塁ベンチで大谷をはじめナインが両手を突き上げて雄叫びを上げるなか、田中も右手人差し指を突き上げてダイヤモンドを1周し、同点のホームを踏んだ。

 そして、5対5で引き分け寸前の延長12回、先頭のレアードが左翼席にサヨナラ弾を放ち、劇的なサヨナラ勝ち。2007年以来の球団タイ記録となる14連勝を達成した。

 勝利のヒーローとなった助っ人は「早く試合を終わらせて帰りたかったから、入ってくれと思っていた。ギリギリで入ってくれて良かった。アリガトウゴザイマス。アイシテル!」と陽気な性格そのままに喜びを表現した。

 栗山監督も「選手が自分の役割を果たしている。ひとつでも多く勝つことで、光り輝いている」と“連勝効果”を強調した。

 翌11日のオリックス戦も、前日リリーフに失敗した谷元が6回に好救援し、4対1と快勝。ついに球団新の15連勝を達成した。

 この時点で首位・ソフトバンクと5ゲーム差ながら、「ホークスの背中が見えてきた」(栗山監督)の言葉どおり、8月25日に首位へ初浮上。優勝マジックを「1」とした9月28日の西武戦では、右手中指のマメの影響で先発登板を約2カ月回避した大谷が15奪三振、1安打完封の快投を見せ、4年ぶりVを実現した。

 Vロードへの起爆剤となったのは、紛れもなく6月19日からの15連勝と、5点差をひっくり返して逆転サヨナラ勝ちした7月10日のロッテ戦だった。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘! 激突! 東都大学野球』(ビジネス社)

デイリー新潮編集部

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