「サザエさん」の視聴率と、日本の景気は比例するとのリポートも…国民的アニメの知られざる伝説 次回予告の「んがぐぐ」には意味があった!
タマは、いない。
磯野家のペットであるタマは、原作には出てこない。つまり、アニメのオリジナルキャラである。もっとも、磯野家にペットがいないわけではなく、むしろ多すぎるのだ。挙げて行くと(※括弧内数字は朝日新聞朝刊での掲載年。1900年代の下2桁)、猫のミー(53)、犬のジョン(66)、犬のエルザ(66)、リスのマイク(73)、伝書バト(73)などなど。中でもリスのマイクはサザエのお気に入りだったようで、
〈マイク!……あたしこうしてるときが一番しあわせだワ~〉
というサザエの声を聞き、ワカメが
〈(テレビで)せいぶ劇やってるナ〉
と勘違いする作品がある(1973年1月21日付け)。サザエ個人で飼っている設定か。なお、原作者の長谷川町子自体、大の動物好きで、世田谷の広大な自宅に犬、猫、鳥、リス等を飼っていた。アニメではわかり易くタマ一匹だが、原作には私生活が大きく反映したと診られる。
イクラちゃんも、いない。
とはいえ、原作でもノリスケ夫婦に子供はいる。正式には別名で、チドリちゃんという。朝日新聞の1964年2月24日付けに出てくるが、性別が判然としない。幾度かの登場で、女の子用の遊具が見られるため、女児か。補足すると、ノリスケのモデルは町子の妹の洋子さんの夫(戦死)であることを、原作者の町子自身が明言している(※2)。元は新聞記者だったとか。
サザエには、第二子がいる。
タラちゃんには妹がおり、名前はヒトデちゃん。レアキャラなのだが、1954年「文藝春秋漫画読本」の企画に長谷川町子が応え、「サザエさん10年後」という1枚に登場している。同誌には「サザエさん30年後」という8コマ漫画も載っており、一家は全員健在。初老のノリスケが訪ねて来ると、波平そっくりの人物が玄関で出迎え、カツオだと自己紹介する。
〈おやじに似てハゲちゃってね〉
そして、年を召したワカメ、マスオ、波平、フネが紹介され、メガネをかけたサザエが、
〈いま子供たちをよびますわ〉
すると、マスオ、サザエ、カツオ、ワカメにウリ2つの面々が出現。
〈う~ん、歴史はくりかえす〉
と、ノリスケが失神するオチだった。
他にも、「カツオの学校の友達は出て来ない」などあるが、こちらは設定上の違いの代表的なもの。作風となると、更にギャップが生じて行く。
※1:「週刊実話」2006年3月16日号他。
※2:「週刊平凡」1962年5月24日号。
【後編は「オバQや沢田研二が登場し、“ビキニ姿”で海水浴も…アニメ版「サザエさん」とは大違い 原作漫画で光る長谷川町子さんの“時事ネタ”への感度」】
[2/2ページ]

