【独自】「外交では、言わなくてもいいことをわざわざ言う必要もありません」安倍元首相の懐刀「今井尚哉」内閣参与は“高市外交”をどうみているか
今井尚哉氏(68)は第2次安倍政権で首相秘書官・首相補佐官を兼任し、長期政権樹立に寄与したことで知られる。昨年10月からは高市早苗首相(65)に請われて内閣官房参与を務めているが、今の政府の外交姿勢をどう見ているのか。9月22日(日本時間23日)に高市首相がアメリカのトランプ大統領と会談する直前、今井氏に話を聞いた。
今井尚哉氏(68)は現在、キヤノングローバル戦略研究所の研究主幹としてエネルギーや環境問題を研究する一方、内閣官房参与として高市早苗首相に助言を行っている。その今井氏が危惧するのが、高市首相の外交姿勢だ。
安倍政権の経験
僕には安倍政権の中枢で仕事をした経験がありますから、「あの時はこうだった」「このまま進むと、今度はここが大変なことになるよ」というようなことを高市さんに伝えているわけです。
その僕が今、一番強く感じているのは、世界中の国との関係を簡単に切っちゃいけないということです。また外交では、言わなくてもいいことをわざわざ言う必要もありません。場合によっては、「言ってはいけないこと」だってあるんです。
高市首相は昨年11月、衆院予算委員会で台湾有事が日本の「存立危機事態」に該当する可能性があると言及。これが中国側の反発を招いて、レアアース輸出規制など対日圧力を強めるきっかけを作った。両国の関係は冷え切ったままである。
高市さんの「存立危機事態」の発言だって、言わなくていいことだし、言ってはいけないことなんですよ。親中だとか反中だとか、そんな生易しい話で外交はできません。中国は巨大な隣国なんですから。
ロシアや北朝鮮に対しても同様です。そういう国々が日本の周りに現実として存在している以上、我々は自分の足で立って、自分自身の考え方を持って向き合っていかなくてはならないのです。
そんな外交は悲しい
今の日本にとって、最も重要な同盟国はアメリカです。しかしそれは、なんでもかんでもアメリカに頼ればいいということではありません。「お父さん、私、いじめられているから助けて」では駄目。そんな外交は悲しいですよ。日本は日本として、自分たちの国益がどこにあるのかを考えて相手と向き合わなきゃいけない。僕が参与として高市政権に忠告していることも、突き詰めればその一点です。
近年では、官僚主義から政治主導へと大きく舵が切られましたが、政治主導の問題点は、外交までその時々の世論や国民感情に左右されかねないことにあります。政治家は、どうしても国民が「わっ」と支持する方向に引っ張られるものです。「中国がけしからん」「ロシアがけしからん」と言っていれば、国民から拍手されるからでしょう。
さらに問題なのは、役人まで世論に引っ張られてしまうことです。政治が感情的な方向へ進み、官僚までその空気に従ってしまえば、国家として長期的な戦略を築くことができなくなってしまいます。僕は、それが一番危ない構図だと思っています。だから、せめて大蔵省(財務省)と通産省(経済産業省)、それに外務省には政治と別に、国家としての長期的な戦略を持っておいてほしいと思っています。
国と国との関係は好き嫌いだけで決まらない
国と国との関係は、その時々の好き嫌いだけで決まるわけではありません。その背後には、経済や産業、エネルギー、安全保障を含めた長期的な戦略が不可欠です。例えば中東で何かが起きて原油が来なくなったとする。その時、日本に大量のエネルギー資源を供給できる可能性がある国はどこなのか。ロシアだって当然、その選択肢の一つになるでしょう。そうした非常事態まで想定したうえで外交を行う必要があります。
一時の感情で外交をやってはいけません。今は関係が悪いから全部切る、相手が気に入らないから話をしないということでは駄目なんですよ。何かが起きたときに連絡を取るパイプすらないようでは、そもそも相手国に抗議すらできません。関係が悪いときほど対話のルートを残しておく。それが外交のルールだと僕は思っています。
新潮QUEで配信中の記事【「世界との関係を簡単に切っちゃいけない」――安倍元首相の懐刀「今井尚哉」内閣参与が語る「高市外交」への忠告】では、今井氏と中国企業・華為技術(ファーウェイ)が「深く関わることになった」理由、さらに今井氏の安倍首相及び高市政権に対する赤裸々な心情が吐露されている。


