「わざわざ言わなくていいの」八代亜紀さんが人知れず続けた被災地支援 義援金1000万円、畳を何便ものトラックで…元事務所社長が明かす
“サプライズ訪問していいですか”
その後、月日がたっても、八代さんは熊本で仕事があれば避難所へ足を運んだ。
「ご迷惑でないか見極めつつも、時には“サプライズ訪問していいですか”と言ってね。訪れると、すごく喜ばれまして。お年寄りの中には手を合わせて拝みながら涙を流してくださる方も。“亜紀ちゃんは何度も何度も来てくれる”って」
19年にコンサートを開いた際は、かつてバスガイドとして勤めた会社に連絡を入れている。
「被災者の方が大型バスを連ねて会場と往復できるようにするためです。費用は本人が出しています」
「失敗しちゃった」
大野氏には忘れられない出来事がある。それは東日本大震災直後のことだ。
「11年の3月下旬、『NHKのど自慢』に出演しました。生放送の最後にゲストとして歌ったのですが、途中で泣き出して、歌えなくなってしまったのです。未曾有の大災害で苦しむ人たちを助けなければという、強い思いの表れだと感じたのですけれど……」
出演後、大野氏が運転する車に乗り込んだ八代さんは、ポツリとこう口にした。
「失敗しちゃった」
大野氏が言う。
「歌えなくなるのはプロとして失敗でも、心の内が表に出ることは失敗じゃない。でも、被災した方々が一番大変なのだから、八代さんは元気づける立場の自分が弱さを見せちゃいけないと思ったようです。その後、各地で支援活動をする中で八代さんが涙する姿を見たことはありません」
大野氏は、このたびの熊本地震への支援の一環として、八代さんが得意にした絵画の展示イベントで上がった収益からの寄付などを予定しているという。
「本人は自身の活動を評価してほしいとは一切思っていなかった。でも今は、彼女の思いを知ってもらうことで支援の輪が広がっていくよう願っています」
思い出すのは「舟唄」の一節。「涙がポロリとこぼれる」逸話の数々である。
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